3月18日「政民東京會議」講師/石破 茂 自由民主党元幹事長

2024年03月18日
  

「今こそ自民党は改革が必要だ」

 派閥の政治資金パーティーをめぐる問題などで自民党が厳しい状況にある中、4月末に東京15区、島根1区、長崎3区で実施される衆議院の3つの補欠選挙が今後の政権運営の試金石になるだろう。岸田政権が少しでも国民から支持されるようにするのが岸田首相を選んだ我々国会議員の責任でもある。
民主主義はプロセスも重要だ。今回の政治とカネの問題で、岸田首相は「党内にモノ言えぬ雰囲気があった」と話されているが、自民党内にプロセスを軽んじるところがあったことは間違いない。第二次安倍内閣で政権を奪還して以来、自民党は選挙で圧勝が続いていた。党内で追い風の選挙しか経験していない議員が半数以上にのぼることに危機感を覚える。自民党に人気がない、総裁に人気がないから選挙で勝てないというのは言い訳に過ぎない。選挙の票は歩いた人、握った手からしか生まれないものだ。いま一度自民党議員の遊説動向を振り返るべきであろう。いまこそ自民党の改革が必要だ。これまで派閥といっていたものから人事とカネを切り離し、純粋な政策集団としてやっていく。カネとポストから決別して自民党は生まれ変わらなくてはならない。

 これまで派閥の合従連衡で総裁が決まるのが自民党の歴史であった。いくつもの内閣をみてきたが、派閥主導でなく総理となったのは小泉氏くらいではないか。自民党総裁選に公職選挙法の適用はなく、憲法に“政党”についての規定はなく、政党のガバナンスに関する法律もない。国是とされる専守防衛、武器輸出三原則、非核三原則も同様だ。この国には50の基本法があるが、安全保障に関する基本法はないのが実状で、その時々の情勢で判断が変わらざるを得ない。かつて「専守防衛」に軍事的合理性がないことを指摘した自衛官のトップ二名はほどなく更迭されていた。政党のガバナンスに関する法律、安全保障に関する基本法の制定は検討すべきではないか。

 自民党は下野していた平成24年に党内で激論の末、前文から第102条まで全条文を整えた『日本国憲法改正草案』を策定した。これには政党法についても明記してある。いまではこの草案はほとんど顧みられなくなってしまったが、国の根幹たる憲法を真摯に議論しないのが果たして政党の在るべき姿なのか。

 国家の在り方とは、経済とは、資本主義、民主主義とは何か、きちんと問うために我々自民党はある。そのためには選挙に強くないとならない。国民にはどうせわからないからと説明責任を果たさないのは政治家の思い上がりだ。いかにわかってもらうべく話し、共感してもらい、自民党とともに新しい日本をどうつくっていくか。同士を増やせば必ず投票率は上がる。きちんとした議論なくして真の独立国家はつくれない。それを説くのが自民党の責任だ。自民党は何のために存在するのか、改めて考え直していかなくてはならない。

 石破氏は自主独立、民主主義の厳しさ、リスクについて熱く語った。選挙制度についても解説し、有権者に対し、「投票に出向き、白票であっても意思表示をすべき」と訴えた。「政治が腐敗し、財界が富を独占し、大衆が貧困に喘げば2・26事件のようなクーデターが起こらないとも限らない」と文民統制についても言及。このほか、この30年間、毎年のように選挙を行っている現状について触れ、「それだけの頻度で選挙を行うと、どうしても受けのよい政策が出され、それが積み重なれば国力が衰退する」と危機感を示した。また、「本来、“解散”とは、内閣と国会の意思が異なったときに、国民の信を問うために行うもの。『総理大臣の専権事項なのでいつやってもいい』というものではない。『いまなら勝てる』というような理由で解散すべきでない」と述べた。その後の質疑応答でも活発なやり取りが行われた。