山本善心の週刊「木曜コラム」 今週のテーマ   「民主党左翼政権への蠢き」

2009年12月24日

時局心話會 代表 山本善心

                                                  

 今年最大の話題は民主党の「政権交代」に尽きよう。今後は国民の期待に応える政権担当能力が問われている。かつて鳩山首相は「民主党は市民の政党だ」と言っていたが、最近は「国民の目線に立つ」に変わった。また「友愛の精神でアジア共同体をつくろう」と呼びかけている。これは「外交は武力を背景とする国益交渉であり、パワーポリティクスに支配される」という外交の原則・現実とかけ離れたものである。

 かつてわが国が日清日露戦争を戦ったのは、国益を守るためであった。いくら「戦争は悪だ」と叫んでみたところで、国益を侵害されればどんな国も力ある外交で決着をつけるしかない。武力を背景とする外交が強力であれば、中国の東ガス田開発、韓国の竹島問題など、国益を侵害される事態は起こらなかった。友愛外交とは一体どんな国益をもたらす理念なのか。これは平和主義と同じではなかろうか。

 日露戦争前後、竹島がロシアに狙われていたのは、国防上の意味を持つ軍事拠点だったからだ。鳩山外交は、竹島が韓国に占拠されたまま返還も求めず、外交交渉もしていない。ただ友愛という言葉だけが一人歩きしているのは、外交不在に他ならない。

韓国慰安婦に金銭支給

 本年7月、民主党の「政策集INDEX2009」には、恒久平和局の設置・慰安婦問題、選択的夫婦別姓、人権擁護、二重戸籍の容認と戸籍制度の廃止、一千万移民推進、在日外国人の地方参政権付与、皇室典範の改正、日教組教育の復活など、危ない政策が目白押しだ。参院選後はこれらの法案を一気に可決へ持ちこもうとの意図が見られる。

 特に問題とされるのは、元慰安婦に金銭支給を行うという馬鹿げた法案だ。従軍慰安婦とは、日中戦争・太平洋戦争期、日本軍兵士に貞操を売る仕事に従事した女性たちである。彼女らは専門の仲介業者や韓国最大紙「京城時報」の募集で集められた。当時の毎日新聞には「慰安婦は一般サラリーマンの数倍を稼ぐ」という記事も出ている。

 韓国ソウル大学の教授・李榮薫氏は『大韓民国の物語』(文藝春秋)において、慰安婦は強制ではなく合法的であったと認めている。さらに韓国の戦争経験者は「強制連行をしなくても、貧しい時代だから生活のため、たくさんの応募者がいた」と語るのであった。

民主党の売国政策

 辞書には「従軍慰安婦」の説明として「日中戦争・太平洋戦争期、日本軍によって将兵の性の対象となることを強いられた女性。多くは強制連行された朝鮮人女性」とある。

 これは三省堂監修の『現代国語辞典』における解釈である。当時慰安婦はいたが「従軍慰安婦」という言葉は戦後にできた造語である。日本軍人が当時の厳しい軍律に造反すれば憲兵隊に連行され、軍事裁判で罰せられるのが落ちだ。

 そればかりか、民主党が設置するという「恒久平和局」とは、元慰安婦への金銭支給を目的とする機関であり、慰安婦を飯の種にして生きる卑しい人たちの権益に他ならない。これでは個人と国の二重払いになる。

自虐史観に染まる子供たち

 最近すっかり落ち目の岡田克也外相は、10月7日に都内で講演し「中韓両国との間で歴史共同研究を推進し、共通の教科書の作成を将来的な検討課題にすべきだ」と述べた。共同研究会では中韓の歴史専門家が何度も協議を重ねてきたが、双方の歴史観は平行線をたどった。今後も意見が一致することはないのに、それをまたやれと言っている。

「岡田氏の歴史観は、三重県日教組と同じだ」という専門筋の話を弊誌で紹介したことがある。日教組は教科書を選ぶ教育委員会に多大な影響力を持ち、教科書会社も彼らの言いなりになっているのが現状だ。教科書は支配=悪、被支配=被害者という前提に基づいた日本罪悪論に偏向している。

 小中学校の教科書からは、歴史的な偉人伝や道徳心はすっかり削除されている。批判の矛先は自国を防衛するために戦争を起こした支配者に集中する。こんなでたらめな反日教育で、日本人の背骨はすっかり折れ曲がってしまった。

民主党の左傾化政策

 最近、筆者が参加する集まりの話題は岡田発言でもちきりで、皆がおかしいと思っている。鳩山・岡田世代は石橋旧社会党委員長が「学校は社会主義者を再生産する現場である」と唱えたとおり、高学歴で頭脳明晰な若者は洗脳されやすかった。小沢氏の胸中は岡田氏が期待外れで、鳩山の次は今のところ前原誠司氏との思いが漏れ伝わる。

 最近国民の間で民主党の左傾化政策や歴史観はおかしいと思う人が増えている。それを言うのは新聞を読まないネット族だ。彼らの情報収集は紙媒体ではなくメール媒体が主体である。当「木曜コラム」もメール媒体であるから自由に書ける。自由とは「心のままであること」と辞書に書かれているが、言葉と内容は最後は心の問題に行き着くしかない。

 最近の集まりで話題になるのは、憲法改正、核開発など安全保障問題である。侵略者を撃退するには相手と同等の自衛力を持つべきだという現実的な危機意識を持つ若い経営者が増えてきた。しかし世論とは別に、法制局は改憲と核開発に組織ぐるみで反対している。宮内庁長官の人事権も法制局にある。「法制局は日本のガン」と小沢氏は考えており、参院選後は法制局の改革に着手しよう。

アジア覇権に同調する民族

 民主党鳩山政権が反米親中として、かつての日英同盟と同じ失敗を繰り返すのではないかと心配だ。中国の日米分断工作を鳩山・岡田路線で成就しようとしているのがうかがえる。しかし小沢一郎氏の狙いは、日米中トライアングルの均衡にある。わが国は日米同盟を基軸とするが、米国一辺倒ではなく中国との関係も良好にしようという思いがあるので、過剰な誤解を招いている。

 毛沢東以来、新中国共産党の目的はアジアの覇権確立であり、それには軍事力を拡大して台湾を統一する必要がある。次は沖縄の確保だ。かつての琉球国・沖縄は中国の属国、朝貢国であった。

 仮に米国が沖縄から撤退すれば、尖閣諸島は直ちに中国に占拠されよう。かつてフィリピンから米国が撤退して半年後、フィリピン南沙群島のミスチーフ環礁が中国に占拠されている。鳩山・岡田外交は小沢外交の本音の部分を理解すべきである。自国は自力で守れ、というのが小沢外交なのだ。

外交とは陰謀と謀略

 歴史を振り返ると、わが国はソ連コミンテルンの陰謀と謀略によって戦争に引きずり込まれたのが真相だ。これは満州事変もしかりで、日米戦争の真珠湾攻撃もソ連の陰謀と謀略だったという事実が、旧ソ連の保存資料館などで明白になりつつある。

 かつてわが国の国策は、陸軍省、海軍省、外務省が協議して決めたものだ。彼らに戦争の裏に潜む謀略や陰謀に対する読みと見識があったのか。彼らに謀略を忌避する戦略や戦術があれば、あのような戦争は避けられたはずだ、との意見もある。

 当時第二次世界大戦への参戦に革新外交官が活躍したとされるが、白鳥俊夫元イタリア大使、松岡洋右外相の批判がないのは不思議だ。第二次世界大戦では松岡が日本の運命を変えたとされているが、結果は敗戦を招いただけではなかったのかという問いに答えていない。なぜ日本が敗れたかについては『太平洋戦争は無謀な戦争だったのか』(ジェームズ・B・ウッド著、WAC)が最近の名著である。

 あらためて吉田松陰の言葉を思い起こしたい。松蔭は「日本の命運迫る。諸君何か救済の道あるか」「危機を危機と思わぬ以上の危機はない」と問うた。迫りくる日本の危機に対し、わが国は何を成すべきかを問うている。

政権交代の風

 先の衆院選で民主党が大勝した最大要因は、先述の通り「政権交代」というキャッチフレーズに尽きよう。官僚からの無駄遣いを止める政策と、国民生活第一のマニフェストに対する期待があった。有権者は、官と癒着する族議員主導の自民党政権にあきあきしたものだ。

 そんなところに「政権交代」という世論受けする風の流れが有権者を動かした。有権者はとにかく一度民主党にやらせてみようということで、大半の保守系有権者が民主党に投票したと見られている。しかし民主党には、韓国の元盧武鉉政権とまったく同じ左翼政策が目白押しで、マニフェストの裏に隠された反日政策の思惑が見え隠れする。
 
 その中で最もひどいのは、皇室典範の改悪と外国人への地方参政権付与、日教組教育の復活が見えてきたことだ。鳩山首相は「友愛」外交を展開しているが、肝心な経済政策や普天間問題で右往左往しており、首相としての指導力がさっぱり見えてこない。        
          

次回は1月7日(木)を予定しています。