2026年4月15日(水)「政民東京會議」 講師/下村 博文 元政調会長・元文部科学大臣

2026年04月15日
  
「政局について」
 
 皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。私は一年四か月ぶりに国政へ復帰しました。都議会議員として7年、衆議院議員として28年、合わせて35年間バッジをつけ続けてきましたが、前回は政治と金の問題、旧統一教会問題などで厳しい批判を受け、初めて落選しました。私自身が口利きをした事実はありませんが、安倍元総理の事件以降、象徴的に矢面に立たされました。しかし今回、再び国政に戻ることができたのは、多くの皆様の支えのおかげです。
 復帰後は秘書も半減し、移動も電車とリュック。街を歩いても批判はほとんどなく、むしろ励ましの声をいただきます。選挙のあり方も大きく変わりました。かつては個別訪問や講演会組織が力を持ち、団体推薦が票に直結しましたが、今は推薦状が百、二百あっても票はほとんど動きません。地域コミュニティが希薄化し、組織選挙の時代は終わりつつあります。
 今の選挙を左右するのは、政党の評価、党首の評価、そしてSNSです。若い世代はテレビも新聞も見ず、SNSのアルゴリズムが情報のすべてを決める。投票前に候補者名を検索し、SNSの発信内容を確認するのが当たり前になりました。だからこそ、風の影響が極めて大きい選挙になっています。
 資金面でも時代は変わりました。かつては選挙後に多くの方が陣中見舞いを持ってきてくださり、1〜2年は資金集めパーティーを開かずに済みました。しかし今はパーティーを開けば必ず批判され、イメージが悪化する。違法ではないのに「また金集めか」と書かれる。だから当面はパーティーを控えています。とはいえ、政党交付金だけでは政策秘書以外の秘書給与を賄えず、どこかで工夫が必要です。
 さて、今日の本題である政局について。最近、高市総理へのバッシングが増えています。官邸の状況、側近の問題など、さまざまな報道が出ています。しかし私は、高市政権は単なる一内閣ではなく、歴史的意味を持つ政権だと考えています。
 高市さんは、もともと誰も「将来総理になる」とは思っていなかった政治家です。第一次の総裁選出馬も、安倍さんが「自民党の保守基盤を守るために立ってほしい」と要請したもので、当時はリベラル勢力が強く、保守が埋没しかけていた。私が本格的に応援したのは二回目からですが、三回目の総裁選でも、当初は小泉進次郎さんが優勢と見られていました。しかし蓋を開ければ高市総裁が誕生した。
 ただし総裁になっても総理になれる保証はなかった。公明党が政権離脱し、主犯指名が危うかった。しかし維新との政策合意が成立し、連立入りによって辛うじて総理に就任できた。わずか半年前まで誰も予想しなかった展開です。
 そして2月8日の総選挙。自民党が結党以来最多の議席を獲得するなど、これも誰も予想していなかった。私は、これは「時代のエネルギー」が高市さんに乗っていると感じています。政治家は化けると言いますが、高市さんは総理になってから明らかに変わった。潜在的な資質が開花し、時代の要請と一致したのだと思います。
 私が尊敬する森信三先生は1990年頃、「2025年、日本は復興の兆しを見せ、2050年には世界から高く評価される国になる」と語りました。当時は誰も信じませんでしたが、高市政権の誕生以降、この言葉に現実味が出てきたと感じています。
 今、日本は戦後体制からの脱却を本格的に問われています。第一次安倍政権もその旗を掲げましたが、国内外の批判で挫折しました。しかし今は安全保障環境が激変し、中国・北朝鮮・ロシアという核保有国に囲まれ、日米安保だけに依存する時代ではありません。経済安全保障も不可欠で、技術流出が北朝鮮の核開発に使われる現実もある。
 だからこそ、今は国家戦略の転換期です。防衛費の確保、反撃能力の具体化、憲法改正、半導体戦略、スタートアップ支援、AI人材育成など、国の形を変える政策が求められています。
 教育も大きな課題です。AIが三日分の作業を十秒でこなす時代、知識偏重では通用しない。AIに使われる人材ではなく、AIを使いこなす人材を育てる教育改革が必要です。創造力、思考力、人間力をどう育むかが問われています。
 高市政権が揺らぐことは、日本そのものが揺らぐことを意味します。これは一政治家の問題ではなく、国家の未来の問題です。私は、この歴史的転換点において、全力で役割を果たしていく決意です。