「政民合同會議」2019年2月12日(火) 講師/黒田勝弘  産経新聞ソウル駐在客員論説委員

2019年02月12日
  

  「日韓国交断絶論の虚実ーすれ違う国民感情」

 李承晩ライン問題以降、“史上最悪”を更新し続けてきた日韓関係だが、最近は韓国が日本を非難するより、日本で被害者意識が高まり、日本が韓国を非難するという構図が逆転。背景には、韓国がこの数十年の間に強く、大きくなったことがある。韓国併合など日本の朝鮮支配の歴史は韓国近代化など善意もあったが、韓国に引き込まれた側面もあり、結果的に日本は深入りし過ぎた。韓国は周辺国を巻き込む手練手管に長けており、その外交力を軽視してはならない。慰安婦問題にせよ、徴用工問題にせよ、韓国は数十年かけて“壮大なる虚構”を人権論などの普遍論に仕立て上げ、国際的に認識させることに成功した。韓国民は情緒的な民族なので、感情的に対応すると引き込まれかねない。

 昨今は日本国内で反韓・嫌韓の気運が高まり、韓国への断交・制裁・報復論が声高に叫ばれるが、それはかつて“日本が援助してきた韓国”というイメージからくる韓国軽視論だ。韓国が強みを持つスマートフォンの多くの部品は日本製というのは事実だ。断交・制裁・報復論はむしろ日本にとって経済イメージ的にも国際イメージ的には逆に不利益となる。安全保障の観点からも、韓国は味方につけておく必要性が依然ある。将来、南北統一ともなれば人口8000万人を擁する大国となり、付き合う価値のある存在だ。韓国にとっても少子高齢化対策など、日本モデルは不可避だ。経済、安全保障、文化などさまざまな局面も考慮し冷静に対応していくべきだ。

 平成の30年を韓国で暮らし、同国の動向を見続けてきた黒田氏。「韓国内では“極右言論人”、日本では“軟弱”と揶揄されるが」と自身で前置きしたうえで、「『最悪の日韓関係』というのは両国を語る上での枕詞となっているが、韓国内でも現状の日韓関係を憂う声は高まりつつある」とメディアには浮上しない韓国内の識者の声を伝えたうえで、「日本政府は国際世論で圧力をかけていくしかない」と安倍政権の外交を一定評価した。その後の質疑応答でも活発なやりとりが行われた。