「政民合同會議」2018年8月6日(月) 講師/石破茂 自由民主党・衆議院議員

2018年08月06日
  

「時局を斬る」

 わが国では人口が急減し、このまま推移すれば2100年には5200万人になる見通しで、若い世代が激減し、高齢者が激増する未曾有の時代を迎えようとしている。非正規社員は900万人に達し、その平均年収は180万円。社会問題化していないのは彼らが親と同居しているためだが、彼らが自立できるよう早急に議論を進めるべきだ。株価が上がり、有効求人倍率が増えたのは良かったが、賃金が上がっていない。非正規社員を増やすことは結果的に日本の成長力を奪うことになる。晩婚化が進み、出生率が低下しているが、出生率をV字回復させたフランスのように女性の負担を徹底的に減らすことも議論していくべきだ。また、高度成長期にはモノは作れば売れたが、人口減の時代には少量・多品種・高付加価値を求める新たなビジネスモデルへの転換が求められる。黒字でありながら後継者不足で廃業する地方企業が増えるなか、人材が地方に還流する仕組みも行政として整備していかなくてはならない。医療制度も同様に、急性期医療に対応すべく整備された現在の制度は、高齢化による慢性期医療には必ずしも適切に対応できていない。このことも真剣に議論を進めていかねばならない。

 石破氏は、複数の地方都市の具体例を挙げ、社会の問題点を様々な観点から指摘。また、「いかにして戦いを起こさず、抑止力を維持しつつ日本の独立と地域の平和を守るか」として安全保障への自身の考えも述べた。氏は「日本に生まれて幸せという実感をすべての人に持ってもらうことが政治の責任」だとして、自らの政治信条、自民党を離党・復党した経緯、憲法、自民党の在り方について考えを述べるとともに、「総理職は日本で最も激務だが、誰かがやらねばならない」「今回の総裁選は私に与えられた責務」として、現時点での出馬への明言は避けたものの、「政治家としての意志を示し、総裁選に際しては国民にどういう国家をつくるべきか討論を通じて国民に説明責任を果たすことが不可欠」と語った。

 その後の質疑応答では、メディア関係者や政治評論家から質問が相次ぎ、活発なやりとりが行われた。