「政民合同會議」2017年5月9日(火) 講師/石平 評論家  

2017年05月09日
  

「中国の政治情勢と米中関係・北朝鮮問題」

 

 胡錦濤氏から権力を譲り受けた習近平氏だが、国家主席に就任以来、自らの権力基盤を固めるために腐敗撲滅運動を通して江沢民一派を徹底的に叩き、影響力を削いできた。同時に、撲滅運動の陣頭指揮にあたった腹心・王岐山氏はいまや習近平氏に匹敵する巨大な権力を持つに至った。今後は習近平氏が王岐山氏潰しに転じる可能性もある。腐敗していない共産党幹部などおらず、王岐山氏を失脚されることで共産党幹部の不満をそらす狙いもある。

 今秋開催される第19回党大会では、新執行部(政治局常務委員)が選出される。現執行部メンバー7人のうち、江沢民派とされる4人を含む5人が年齢制限で引退すれば、胡錦濤派の共青団派幹部が自動的に政治局常務委員に昇格する。そして2022年の第20回党大会で習近平氏が2期10年という慣例に従って党総書記のポストを引退すれば、胡錦濤派の胡春華氏が国家主席となる。これは胡錦濤氏が総書記の4年前から描いた戦略通りだ。

 習近平氏は王岐山氏なしには胡錦濤氏と対峙できない。習近平氏が慣例を破って20回党大会でも続投に執着するか、まずは秋の党大会の人事に注目したい。

 トランプ政権は中国に厳しい姿勢を取ってきたが、北朝鮮問題で考えが変わり、問題解決には中国との協力が不可欠として米中首脳会談につながった。しかし、中国の本音としては、世界の悪役としていまの北朝鮮の体制を維持し、南シナ海問題への注目をそらしたい考えもある。中国は北朝鮮を追い詰めることはせず、北朝鮮も中国の言うことは聞かないことが分かり、トランプ大統領は北朝鮮との直接対話の可能性を模索し始めた。

 石平氏は、このほか、裏切りが常套手段である国際政治の実情について語る。また、米中首脳会談の最中にトランプ大統領からシリア攻撃を告げられたときの習氏の反応ぶりから「中国のためにも主席であり続けてほしい」と皮肉り、場内の笑いを誘った。その後の質疑応答で中国のバブル経済について質問が及ぶと、「すべては党大会に向けた成長率維持のため」と回答した。