11月8日「政民東京會議」講師/泉 健太 立憲民主党代表

2023年11月08日
  

立憲民主党の主要政策

10月22日の衆院長崎4区と参院徳島・高知の補欠選挙では、徳島・高知で立憲民主党が応援した無所属候補が制した。世界に誇る自然や、食、文化、自由、勤勉さ、世界最高レベルの健康と長寿など、日本は可能性に溢れている国のはずだが、自民党政権では日本の衰退を止められない。失われた30年があり、雇用破壊、所得が増えない働き方、多様性を認めない法制度などによってこの国は活力を失ってしまっている。これは天災ではなく、政権による人災と言ってよい。自己責任論、格差の放置も日本の可能性を阻んでいる。

立憲民主党としては、現在の政治の在り方を変え、「人へ 未来へ まっとうな政治」を目指して現実的なアプローチを内外に発信していく考えだ。

まず、「人」に重点を置いた予算に変え、再生可能エネルギー、医療などへの積極投資で日本の競争力を回復させる。エネルギー分野では2050年までに原子力に依存しないカーボンニュートラルの達成を目指す。代替電力を増やすことで新たに原発を増やす必要はない。高い目標ではあるが、時間は残されている。再生可能エネルギーに越したことはないが、現実的なアプローチとして安定供給が不可欠で、米シェールガスの日本への輸出を増やすよう要請したところだ。洋上風力発電などへの投資を強化すると同時に、すべての公共施設で再生可能エネルギーの設置を義務付けるなど、再生可能エネルギー推進と同時並行で省エネを強化することで目標達成を目指す。自民党政権下では再生可能エネルギー推進に慎重過ぎて技術革新の勢いが失われてしまった経緯がある。技術革新を含め様々な取り組みを進めることで進捗状況は改善されるはずだ。

企業の脱炭素化についても、自民党は法人税減税での支援としているが、立憲民主党としては自動車や鉄鋼、化学関連企業向けなどピンポイントの事業支援で違いを示したい。あわせて地方経済活性化に向け、省エネ家電購入、省エネ住宅に改修した場合の補助金増で住宅改修需要を増やし、ひいては化石燃料の輸入減にもつなげる。

安全保障についてだが、立憲民主党は防衛費増額に反対しているわけではない。先日、法政大学の政治経済サークルの講演時に学生にそう捉えられていたことに驚いたが、防衛費の激増・急増に反対しているだけで防衛費の増額はあくまで国家予算全体のバランスを考えるべきだ。5年で43兆円の根拠が不明確で、NATO各国のGDP比2%目標とするなら、NATO30カ国中20カ国で達成できていないのが実状で、それくらい難しい。イージス・アショアの導入で右往左往しているのは額ありきで本末転倒ではないか。岸田政権の煮え切れない金融政策で円安が続き、米国から購入する武器も高額化する一方。精査なくして国民の賛同は得られない。原発のテロ対策、シェルターの整備など立憲民主党はより現実的な安全保障に向け、不備を指摘しているところだ。

限られた財源を防衛費だけに充てるわけにもいかず、岸田首相が確固たる財源なく唐突に所得減税を打ち出したのも不可解だ。政権への批判を受け選挙目当てで発言したに過ぎない。8〰10月の値上げラッシュで国民が物価高で苦しむなか、所得減税となるのは来年半ばというのではあまりに遅すぎる。需給ギャップが縮まり、さらなる物価上昇を招きかねない。立憲民主党は緊急経済対策として総額7兆円規模のインフレ手当を支給することを提言したい。バラマキではなく、あくまで物価上昇対策として、過度に景気を刺激しない考えだ。将来への責任を持った政党であるために赤字国債の発行にも物申す。

泉代表は「岸田政権の支持率が下がり続けるなか、野党議席の最大化が問われるが、維新の会や国民民主党、共産党らとさまざまな可能性を探っている」「理想を掲げつつ、地味でもまじめに現実的な政策を掲げる党として対話に応じていきたい」と語った。また、次期衆院選ではには「150議席を目指したい」として将来的な政権交代への意欲を見せた。