「政民合同會議」7月5日 講師/高橋 洋一 元財務官僚・嘉悦大学教授

2021年07月05日
  

「最近の政治経済情勢について」

 今秋の総選挙の前哨戦である都議選で、公示直前に小池百合子が“過労”で入院した後、都民ファーストは支持率を上げ大善戦し、自公は過半数届かず、小池百合子の狸寝入りは見事に成功した。新型コロナウイルスは致死率の高いインフルエンザに過ぎず、ワクチンの普及により世界的にコロナは終息しつつある。日本の新規感染者はG7で最も少なく、コロナ対策はうまくいっている。ワクチン接種1日100万回以上は予定通り進行中で、メディアは東京都の感染者数を大げさに取り上げるが、今後爆発的に感染が増えることはまずないだろう。ワクチンの一時的な供給不足は起こるが、国民の半数が接種するようになれば経済活動が正常化する。

 東京オリンピック・パラリンピック後、臨時国会が召集され、10月末までには総選挙が行われる見通しだ。政府が大量の国債発行で財源調達し、日銀がその国債を買い入れることで経済を下支えする“政府・日銀の連合軍”はインフレ2%に達しない現状では当分有効で、20年度の税収は過去最高の60兆円強となるなど財源は充分にある。対中包囲網は拡大するだろうが、世界経済全体の見通しは明るい。都議選で勝てなかった自民党は一時的な減税策を打ち出してくる可能性もある。

 財務省入省前は感染症数理モデルの研究者だったという高橋氏は、「コロナに感染する確率は交通事故に遭うより低く、致死率の高いインフルエンザ。

 感染者の半数が若者という現状で、ワクチン接種が進めば10月には終息しているだろう」と予測した。また、米国で個人向けの給付金が多いのは日本やドイツと異なり、企業向けの雇用助成金制度がないため、として日本の景気対策が奏功している現状について解説した。一方で、予測が外れることの多い専門家の言葉を繰り返し取り上げ、連日ネガティブキャンペーンを繰り広げるメディアを批判。緊急事態条項がないために国から地方への強制力がなく、コロナ禍でも民間病院の病床提供を無理強いできない現状を挙げ、「日本は普通の国ではない」と語った。質疑応答ではアフター・コロナの株価、為替見通しなど多くの質問が寄せられた。