「アジア安保会議」11月18日 講師/川島 真 東京大学大学院総合文化研究科教授

2022年11月18日
  

「3期目を迎えた習近平体制の目指すもの」

 

 10月の共産党大会で党主席制は採用されず、集団指導体制が維持されるなど、従来の延長の政策となった。人事は改革派が一掃され、女性政治局員は不在となり、習近平に近い人物で固められた。後継者の指名はなく、習近平が今後10年総書記を継続する可能性も高まった。習近平演説では、この5年はコロナにウクライナ戦争と予期せぬ事態が続き、こうした人事面での「団結」がなければ2049年の目標である中華民族の偉大な復興は実現できないという危機感が示された。今後は「団結」を示すため、「国家の安全」を盾にデジタル監視などを通じて異分子排除に努めることが見込まれる。だが、共産党が社会に豊かさや便利さを与えてこその「幸福な監視社会」だが、不動産バブルは頭打ちで、コロナで地方政府が疲弊し、地方公務員へのボーナス、給与未払いも起こっている。課題は山積みであるにもかかわらず、具体的な対策が示されることはなかった。移動の禁止が行え、社会のコントロールに好都合なゼロコロナ政策は、経済のために一定程度緩和されても、今後も継続するだろう。

 対外政策では、新興国、途上国の代表として先進国に対峙するという基調が基本的に踏襲される見込み。

 台湾は2049年までに戦わずして統一することが基本路線であることに変わりはない。台湾人を同じ中華民族としてサイバー攻撃や経済制裁によって台湾社会が統一に向かうよう強引に仕向けるだろうが、効果がない場合には圧力上げるべく軍事行動の可能性もある。台湾では、地方選挙では国民党が有利でも、2024年の台湾総統選はおそらく民進党が勝利するだろう。目下、日台関係は議員交流が中心だが、両国間の経済会議の範囲を広げるなど、制度も拡充し、より踏み込んだ交流が必要だ。

 川島氏は習近平の下には恣意的な情報が集まる可能性があることから、「日中関係改善に向け、直接対話できる岸田首相から日本の立場を継続して伝えていくことが大切だ」との見方を示した。また、党大会における胡錦涛事件については胡が「外国人記者が入ったタイミングを見計らって、人事面での不満を示したのではないか」と述べた。そのほか、高齢化する中国社会、世代によって異なる日本の対中感情、締め付けの厳しい監視社会での中国人の声などについても解説した。