「アジア会議」1月25日 講師/富坂 聰 拓殖大学海外事情研究所教授

2021年01月25日
  

「バイデン政権下での米中関係と日本の選択」

 

 米ロス商務長官が昨年1月に中国がコロナウイルスに苦しむなか、サプライチェーンの見直しに言及したことを機に米中関係は硬化した。トランプ前大統領は習近平を評価した時期もあったが、選挙対策で一変。バイデン政権下でも米中関係は一気に悪化していくことが予想される。

 しかし、長期的戦略を立てられるのが中国の強み。日米の企業が短期利益重視で長期投資できないのに比べ、ファーウェイは売上の10%を研究開発に充てることができた。習近平の掲げる新たな発展モデル“双循環”とは、国外とのかかわりとの中で発展していきたい気持ちはあるが、できなくなる場合に備えておきたいという考えだ。欧中間の貨物輸送量は前年比30%増。中国はEUとの投資協定締結の大筋合意、デジタル人民元の導入など“脱米”への準備を着々と進めている。

 今回のコロナ禍で数々のフェイクニュースが飛び交い、情報の政治化が起きた。フェイクニュースは出ることに意義があり、フェイクニュースを否定する当事者の声は弱い。かつてのイラク戦争における米国の情報操作と同じ構図だ。

 翻ってわが国の外交、経済政策には軸がないのが問題だ。安全保障は国益で考えるべきだがそれすらない。ニクソン・ショックを機に一気に日中友好に傾いた当時とまるで変っていないのだ。トランプ政権が中国に強く出たことを日本国内で評価する向きもあるが、あくまで米国の利益を考えての行動に過ぎない。わが国がコロナの感染拡大を防ぎながら経済復興を自国だけで行うのは難しく、これからも中国と付き合っていかざるをえないことは認めるべき。

 富坂氏は、コロナ禍で広まったWHOの中国への忖度、中国のウイルス隠蔽説、人工ウイルス説についての真偽について詳細に解説。「中国が発展すれば民主化する」との米国の幻想説には「中国が明言したことは一度もなく、独自の“特色ある社会主義”でいく、と言い続けているに過ぎない」とした。また、「“特色ある社会主義”とは、正義、モラルに関係なく、要は発展し続けることだ」とし、中国との付き合い方についての提言を行った