主張

「先人に学ぶ」

“先人に学ぶ”という言葉がある。
これは良き師に恵まれるということである。経営者は先人から学び、常に身を正すべきで、信用を高めていく必要がある。
ライフコーポレーションの清水信次会長兼CEOは今年87歳になられる。かつて消費税3%反対で時の内閣と真っ向から対決したことがあった。氏はどんな役人からの圧力にも屈せず、自らの信念を貫いた骨のある人物で、官公庁や政治家から恐れられた存在だった。
それは清水氏が経営者として清廉潔白であり、公私のけじめや、「きめごと」に厳しい人だったからだ。ライフコーポレーションの社員や関連業者の誰に聞いても、「清水会長に安心してついていける」「あの会社なら厳しいけど堅い」といった信用の積み重ねが世間に定着していたわけだ。げんに、清水氏は経済界の大御所でありながら、いつもニコニコして誰にでも優しく接するお人柄は、氏の厳しさを超越した人格から来るものであろう。
そんな清水氏が、一番大切にしていることは、「きめごと」を大切にする、頑固なまでに守り抜くという意識と意志、それを継続実行するための自己管理であった。これはかつての日本人の美徳と
言っても過言ではない。かつての日本人は約束時間に10分か15分前に到着しているのが礼儀だったほど厳しかった。
とかく、清水氏が講演会に出席と通知を出された場合、国家に一大事があること以外、キャンセルをしたという記憶がない。もちろん、氏は誰よりも多忙極まるスケジュールで、土日祝日も休まず仕事をしており、朝早くから夜まで働いているというから驚きだ。そんな多忙な氏が「きめごと」を守るのだから、よっぽどの信念と意志の強さがあるのだろう。
たとえ、個人であれ、企業であれ、社会との「きめごと」であれ、経営が健全に繁栄し、安定している経営者は、一々の厳しい実例に体験し、信用の恐ろしさを知っているからであろう。今日のよ
うに厳しい変化と情報のスピード化の時代には自分の利害や都合で「きめごと」を変更しがちだが、逆に考えればそういう経営者はちょっとしたあやまちとか失敗が致命的になりかねない。まず、経
営者は人との信用を得なければならないということだ。その信用は長年にわたるあやまちのない誠実でまじめな積み重ねによって築かれてきたわけだ。