主張

よく学び、よく遊ぶ

日本経済が絶頂のころ海外で活躍した大手商社マンで、今は中小企業の経営に携わるF氏について感じるところがあったので書いてみたい。ある会合でのことだったが、当時いかに自分がその世界で遊んできたかを自慢げに話し、「遊びを知らないと人脈も広まらないし、仕事も立派に行えない」と説いていた。私はその話を聞いて「今頃なんて会話をする人なんだろう」と思った。なるほど一理はあるし昔ははそうだった。芝居役者が「遊ぶのも芸の肥やし」などと言ったのと同じだ。しかし現状はどうか。わが国のバブルが弾け、グローバル化を強いられた挙句リーマンショックで今や世界中が生き残りに必死の時代である。バブル時代の 感覚とは真逆の時代に今われわれは置かれている。この困難な時代を生き抜くには一刻も早くF氏の言う「遊び=仕事」のようなバブル時代の感覚から抜け出さないとの印象を強く持った。  かつて田中角栄元総理が弊会の東京例会で話した言葉がある。「人生死ぬまで勉強じゃ」と同じことを18回も繰り返し述べた。この田中氏の言葉は今の時代にも見事に生きている。企業のトップとしての資格は金儲けだけを追い求めるのではなく、いかに社会に貢献するかを考えなければならな     い。それには日々、自分の商売以外の情報収集や勉強なしでは成し得ないし、教養と見識が求められ、その人間の価値観も問われよう。また、そのように地道に努力をする人が、手堅い経営者とされ社員から尊敬され、あがめられよう。  弊会の代表は、在学中から、あるビジネスで大儲けして大金片手に遊び回っていた時期があった。そんなとき、とあるクラブで年配のホステスから「あんた若いのに、毎日たくさんお金使ってるけど悪いことしたらあかんで。まじめに生きなはれや」と言われたことにショックを受けた。その一言がキッカケで「一生に一度しかない人生を大切に生きよう」と考えるようになり、いまの時局心話會につながっている。                     弊会が発足して34年、山本は20年前から朝5時頃から起きてゴソゴソ本を読んだり物を書いて勉強をしていた。いまでは山本善心の「木曜コラム」が大ヒットして、内外の多くの人たちからたくさんの便り、メールの申し込みをいただいている。なんと、台湾の李登輝元総統も毎回、楽しみに読んでくださっているとご本人から聞いた。そればかりか、毎週十数万人の人たちが「木曜コラム」を読んで、日本ばかりか海外からも反響をいただいてい る。これは一朝一夕にできたものではなく、長い年月の学びと経験によるものであろう。余談かもしれないが、山本は「人生いまが一番楽しい」と語っていた。  これはほんの一例かもしれないが、トップに立つ人は、内外の政治経済に学び対話ができる存在であるべきだ。先に触れたように、商売と遊びを一緒にするような発想で厳しい時代を生きていけるだろうか。やはり、「学ぶ」気持ちに加え、向上心と好奇心のある経営者に運が向く筈だ。トップは自分をレベルアップすることで、自分の器が大きくなれば、周囲の信頼を得て会社も安定しトップを取り巻く環境も変わるのではなかろうか。今回の執筆原稿を山本に見せて意見を求めたら、その答えは「よく学び、よく遊べ共に大切なことだ」との見解であった。