主張

「道徳心は正義の始まり」

わが家の家訓は「正言 正心 正行」である。これは、「正しい言葉を発言し、正しい心を持ち、正しい行動を行う」という心得である。私は家訓に学び「人の道がどうあるべきか。仕事をするうえ   したがって、何かをするときにこれはまず人の道として正しいかどうかを見るようにしており、人を見るときにもその人の人間性や物の見方、考え方が正しいか否かを見極めるようにしている。   言うまでもなく、経営においても、人間として社会人として常に何が正しいかを判断の基準として貫くべきだと思う。人間は私心や雑念で物事を見ると、本質が見えないと言う。「儲かるか、儲から ないか」という利益の追求に加えて、経営者としての倫理・道徳心を高めることが必要だと先人たちは言ってきた。人間の質が高まれば企業の質も変わる。「正義」が経営の理念であれば、多くの社員やその家族が不安定な未来を招くことはない。
かつて李圭浩さんという韓国の全斗煥大統領時代の駐日大使がいた。私はこの李さんから「人の道」について多大なる影響を受けた。李さんは私の母校である韓国の延世大学の哲学科の教授を経て、統一院長官や文教部長官を経験された人だ。この李さんからは、「倫理・道徳」が何たるかを教わり、人として「哲学」をもつことの重要性を教えられた。
そこで思い出すのは、渋沢栄一氏の「論語と算盤」という本がある。氏は同書のなかで、経営者は「道理と利害」をいかにバランスよく考えるかが必要不可欠な条件だと説いていた。どちらか一方に偏っていてもいけないという意味であろう。
今の時代は、内外の政治経済情勢がスピード化し、目先の利害に追われる時代である。それゆえ、情報や知識を習得して、自らの質を高めるための教養が必要だ。我々は今、そんな時代に生きていると言う事実を認識している