主張

「朝青龍騒動」

第68代横綱朝青龍は、2場所出場停止処分などを受け「解離性傷害」と診察が下された。
これは横綱がけがを理由に、相撲界の重要行為である夏の巡業を休んだあげく、親方にも無断で母国・モンゴルに帰国し、サッカーをしていたことが発覚し騒動の発端となったからだ。
言うまでもなく、朝青龍騒動に対しては3つの非がある。①朝青龍は横綱という立場、力士としての認識が欠けていた、②こんな横綱に育てた師匠高砂親方(元大関朝潮)の責任である、③日本相撲協会のトップ・北の海理事長は親方の責任にし愚行への対処が甘かった、ことにある。この無責任体質はどうにも目を見張るものばかり目立った。
そんななか、モンゴルのエンフバヤル大統領は、朝青龍の問題について「もっと日本の伝統を学んで、真の意味での強い横綱になってもらいたい」。さらに、「真の意味で強い横綱になって、もっと日本の人たちに愛される存在にならなければならない。スポーツ選手は体力ばかりでなく、知力をも鍛える必要がある」と述べていた。
確かに、その通りである。いまやグローバル化が叫ばれるなか、力のある者がすべての時代となった。しかし、世の中には変わってよいものと変わってはならないものがあり、まさしく日本の伝統や文化は変わってはならないものだ。つまりは、精神的な伝統や文化という基盤があるからこそ、進歩や発展が積み上げられるものなのだ。
朝青龍は、モンゴル出身で早くから横綱という出世街道を歩んできたため、「相撲のしきたり・こころ」を理解していなかったのであろう。
問題なのは、親方や協会が相撲道・武士道精神をハッキリと自覚していなかったことだ。まるで相撲道を捨ててしまったかのように、朝青龍の勝手気儘な行為を許してしまったからだ。
いったい親方や協会は朝青龍をどこまで教育してきたというのか。親方も金のなる木だから横綱に対して当たらず触らずで、また協会も横綱の行為に対して責任を持たなければならなかったが、結局は相撲道が何たるか教えてこられなかったことにある。
そのことが朝青龍を増長させてきた原因となったのである。それを指摘し反省させたマスコミの功績は大きいと言えよう。朝青龍も自分の未熟な立場を認識したにちがいないし、また相撲道が何たるか思い知らされたにちがいない。 これは相撲界だけにかぎらず、日本の各界が日本人のあるべき姿、伝統や文化を見失い、金儲けだけに猛進してしまった結果物と言えまいか。