木曜コラム

山本善心の週刊「木曜コラム」 今週のテーマ     世界は倫理・道徳重視の時代へ③

時局心話會 代表 山本 善心 VS 黄 石城
10月20日於恵比寿ウェスティンホテル

これまで2回にわたって「倫理・道徳」の問題を取り上げてきた。当初は一回のみの予定であったが、反響が大きく、3回にわたって掲載することになった。世界は科学技術と経済競争力が重視されてきたが、結果は「倫理・道徳」の退廃と堕落を招いた現象が浮き彫りとなる。世界は力の政治と国益外交を行使し、資源の乱開発を推し進めてきたが、同時に地球全体の環境破壊を招きつつある。

ここに言う、道徳の意義、道徳的な行為、動機、性格、政策の質について、詳しく議論する気はない。しかし、正誤善悪について、善は道徳的であり、悪は非道徳的と区別してきた。人間社会で非道徳的な行為と対立することで自らを正当化したものだ。ここで道徳の問題を哲学的に語るわけではないが、人類や地球が非道徳的に走り出せば、それは我々の身を脅かす存在になろう。地球の温暖化も一つの現象に他ならない。我々は人類の存続と社会の平和と安定のために「倫理・道徳」の問題を語り続けていきたいと思う。

道徳の頽廃〔対談

山本:この数年、世界の政治経済は、米国の金融賭博に振り廻された感があります。米国は欧州や日本をはじめ、世界を金融旋風に巻き込みましたが、これが経済の価値基準になったのです。そのため、人間性とか道徳心がなおざりにされたばかりか、賭博経済に翻弄され、企業も個人も民族の伝統すらばらばらに解体され、挙句に金融資産を米国に総ざらいにされる始末です。

黄:残念ながら台湾も同じです。しかし、このような非道徳的な経済システムが長続きすることはありません。利害のために公益道徳や人間社会を不幸にする人間の身勝手さ、利己心があらわになり、他人を犠牲にする経済プランは必ず破綻します。そこに人間として社会人としての「倫理と道徳」がない人は必ず亡びるというのが原理原則です。道徳心がなければ民主主義も人権もなく、企業の社会性もありません。当然の報いとして法治と正義のない人と国は破綻するしかありません。

山本:「経国済民」という言葉があります。これは政治が民を助け国を治めると解釈しています。本来経済学とは、利殖術でもなければ家計学でもなく、人民の豊かさと幸福を追求するものでした。経済学は倫理学から出発した定義ですが、本来、人間の幸福を追求する学問の原型であったわけです。

:私も同じ考えです。政治も経済学も「倫理・道徳」の上に出発したものです。しかし、経済の目的は道徳論ではなくて、大多数の人々が目先の利害追求にすり替えています。昨今、世界は科学技術や経済競争力を重視するあまり、最も重要な人本主義教育でなくて、人類の品質低下と倫理道徳の低下を招きました。その結果、今日では「人間性の喪失」と「地球環境の破壊」が危惧され、人類存続の瀬戸際に追い詰められています。

山本:2011年は先進国による凋落の年でした。欧米経済の衰退が明らかとなり、欧州は通貨や信用を失う事態となりました。いまわが国をはじめ、欧米諸国は「増税か赤字削減か」という最悪の罠にはまっています。なかでも、若者たちが失業し、中間所得層の就労先がなくなるほど、深刻な事態を招いています。中国もどうやら預金準備率の引き下げなどで市場コントロールの失敗が指摘されています。この数年、世界は自国の改革をいかにして行うかが問われていくでしょう。それには経済の原点に戻る必要がありますね。

世界の害毒になりつつある中国

:世界的に、工場や車、バイクや航空機から出す排気ガスが酸性雨のもとになるなど、環境汚染の問題があります。水質汚染では、河川の排水汚染、有害廃棄物による土壌の破壊、飲料水、河川、沿岸水域のほとんどが汚染されている状況です。それに農業、オーキシン、抗生物質、顔料、防腐剤、ラクトパミン、酸化剤などの食品汚染が人体を蝕んでいます。さらに、医療廃棄物やメッキ液による毒性物品の汚染も深刻です。

山本:たとえば中国でいえば、北京も上海も空は灰色で、水道水が飲めないなど、人間が住めない住環境が進行しています。彼らは近隣諸国に触手を伸ばし、「尖閣をわが領土」と言い、美しい水と空気のある他国の領土を狙っています。中国に獲られた領土はやがてドロドロに汚染され、海や川、美しい大自然は破壊されるしかありません。世界中に広がる中国発の環境破壊から人権にいたるまで、彼らの存在は世界の害毒になりつつあり、非道徳的国家と規定せざるを得ません。中国は人権と法治が野放し状態の野蛮な国ですが、やがて重大なツケを払うことになるでしょう。このような汚染された中国が隣国にいることはやがて日本全土にその被害が及ぶことを心配しています。今後わが国は台湾と協調して環境技術を中国に提供したり、中国の環境再生に協力すべきです。

経済至上主義が環境破壊を促した

:天人一体の自然価値とは、自然との共存であります。いまの人たちは経済至上主義を言い、人間は自然に打ち勝てると言いだしました。人類は化石燃料の大量使用をはじめ、大規模な森林伐採を行い、地球の生態系のバランスを崩しています。自然を自分たちに都合のいいように使ってきましたが、その結果は地球を損傷して破壊に導いています。そして問題なのは、あらゆる土壌系の存続が危ぶまれていることです。

山本:その一方では、人間は一度贅沢が身に付くと、質素な生活には戻れないといいます。現代社会は肥満体の人たちであふれています。彼らは食欲に任せて自分の肉体をコントロールできず、命を縮めています。欧州の経済不況もスリム化して奇跡の復活を遂げるのか、不況の深みにはまるのかと、世界が注目していますが、危機はその都度悪くなっていくようです。何事も度が過ぎると元に戻すには時間を要します。地球の温暖化が今後どのような事態になるのか非常に気がかりです。

:たとえば、ヒマラヤのエベレストは1966年から1999年にかけて130㎝も減少しました。いま、南極と北極の氷が溶けだし、グリーンランドは陸地の一部が上昇したために海水に呑まれてしまっています。北極では約200平方キロメートルの氷が溶けだしましたが、これは台湾の56倍に匹敵する面積です。約2万2000頭のホッキョクグマは、45年後には絶滅すると言われています。ペンギンは食を求めて北上し、最後は土が肥沃なブラジルに逃げ伸びると言われています。

山本:そうなると、地球のあちこちで自然の破壊現象が続出することになるでしょうね。今日に見る被害状況は深刻です。たとえば、気候の変化、異常な環境の変化、生体の動きなどニュースで知ると何かあるのかなぁと思います。

:台湾の竜巻の強度は凄まじくなっています。最近の米国の地方都市では強力なハリケーンの襲撃を受け、壊滅的な被害を受けています。オーストラリアの洪水もあります。最近、世界では異常とも言われる極端な気候変動が起きていますが、寒いところはさらに寒く、暑いところはさらに暑くなっています。これらの地球温暖化傾向が自然災害を引き起こしたものと言われ、これはみんなの一致した意見であります。

倫理・道徳を高め、あくなき欲望を抑制せよ

山本:このような状況を生んでいるのは人間そのものが作り出したことが原因と言ってよいでしょう。人間のあくなき欲望はとどまるところを知らず、地球を破壊しようとしています。これにはやはり、それを抑制する手段として、国が地球全体を考える「倫理・道徳」しかありませんね。しかし、それぞれの国は頭で分かっていても、現実にはどうすることもできないのは、経済発展のためには環境破壊は欠かせないものです。ですから人類は調整能力という努力が問われます。

:その通りです。すべては政治屋と企業家の一部の画策にあります。彼らの欲望が地球と人類を含む生物を破滅に追い込んでいます。美しい地球を破壊してまで経済発展することが自慢できますか。彼らの行為は人類の敵であり、彼らの行為に対して意見を言い、非難すべきであります。

山本:黄先生の言われる通り、地球上で人間は万物の霊長です。人間は生物や植物、空気、水など自然環境にいたるまで調和と安全を管理する自然界の総指揮官であります。人間の気質と道徳が貧しければ、人類も自然も地球も不幸になるだけです。このたびの対談はこれからの世界と日本の未来を暗示するかのような示唆に富んだ内容になりました。政治家も企業家にも大きな影響を与えるものであってほしいと思います。ありがとうございました。  (終わり)

次回は12月6日(木)