木曜コラム

山本善心の週刊「木曜コラム」  今週のテーマ     反日デモに見る中国の本質

日本政府は沖縄県八重山尖閣諸島を国有化した。これまで鄧小平氏が次世代に「棚上げしよう」と発言して以来、日中両国は尖閣を曖昧にしてきたが、ここにきて日本政府が地権者から20億5000万円で購入した。これで中国側は怒り狂ったのか、「反日デモ」「反日暴動」を125の都市で主導。これは「官制主導」のやらせ「反日デモ」で、若者に日当を払って煽動した事実が明白となる。中国のデモは暴力と破壊であり、「反日暴動」という表現が適切だと思う。暴徒らは、日本人が街で日本語を話すと「お前は日本人か」と確認し、殴打、暴行、掠奪を繰り返した。街の飲食店で食事中、在留日本人や日本人旅行者を見つけると過激な中国人から訳も分からず土下座させられたケースもある。持ち金を掠奪されて帰るに帰れない日本人もいた。

一方、日系企業に対する被害状況は、手当たり次第に放火や略奪、機械製品の破壊を行った。日系の自動車産業やパナソニックを始めジャスコ、ヨーカ堂などは一時、休業、撤退に追い込まれた。日系企業の損害は膨大な金額に上っている。

このような暴挙の限りを尽くす中国人民の行動は、かつての日中戦争に導いた対日暴挙と同じであった。中国の「暴力と破壊」は目的を達成するための常套手段であった。かつて日中戦争前後の対日暴挙に学べば日系企業の将来はこれからも多大な損害と悲劇が招来されよう。

日中戦争の原因は中国側の排日・侮日が戦争の引き金となったものだ。当時、「通州事件」は日本人男子子供が223人数珠つなぎにして処刑殺害された。猟奇事件と同じく局部を抉り取られるとか見るに絶えない残虐さだった。かつての戦争について、わが国の気楽な政治家は「わが国は中国を侵略した」と無知蒙昧に語るが、かつての戦争原因は中国人らの残虐行為に対する報復から始まった。今日に見る「反日暴動」を見れば、かつての戦前と同じ日本人に対する残虐行為のストーリーをご理解頂けよう。

柳条湖事件に見る当時の中国人

昭和6年「満州事変」の引き金となった「柳条湖事件」から81年になる。この事件に到る日中間の歴史的経緯を知らずして「柳条湖事件」を語る資格はない。これは満州の鉄道線路を日本軍兵士が爆破したとされている。それゆえ、「満州事変」は日本側が仕掛けたことになっている。しかし、当時は満州の権益をめぐる日中間の争いが熾烈を極めていた。しかもソ連のコミンテルンが背後で中国共産党を操り、対日工作を指示した。4半世紀にわたる中国の排日・侮日政策を学ばずして81年前の「柳条湖事件」の良否は見えてこない。

「柳条湖事件」の真相は後日詳しく述べたい。この事件が起こる前の満州に於ける日本人の迫害や惨殺事件(1919年から1931年満州事変まで)は記録に残っているだけで240件、暴行、掠奪、妨害、放火などを含めると1400件以上に及ぶ。満州ではソ連コミンテルンが中国人に指示し執拗な対日暴動が連日頻発した。日本人居留民が苦しめられ生活できない状況に追い込まれたのだ。さらに恐るべきは中国人暴徒による日本人惨殺事件であった。

最も苛烈を極め、日中戦争の発端となった「盧溝橋事件」(1937年)は、中国側から発砲したと、中国共産党の指導者劉少奇が告白した。彼は「共産パルチザン事件」の首謀者である。劉少奇は総勢5千人に及ぶ部隊を引き連れ、日本領事館、機関車、鉄道、居留民住居、電灯公司、病院などに放火、たくさんの日本人を殺害した。この事件の真相は元ソ連軍の軍人レオニード・ワーシンが証言した。

反日デモは中国の国内事情

今回の「反日暴動」は「満州事変」、「日中戦争」を起こしたのと同じ中国人の大義なき悪質な対日行動である。少し違うとすればデモに参加した若者らの中に現共産党政権への打倒という思惑がある。いま中国経済の不況による失業問題と格差拡大に若者らの不満が鬱積している。たとえば、企業倒産の多発で生産活動の鈍化、消費や投資の指標は急停止状態で、そのツケは国民に押し付けられている。現場で見る中国経済の先行きは深刻だ。

彼らは反日やナショナリズムよりも平等と民主化への思いが強い。なぜ反日デモのプラカードに毛沢東元主席の写真が掲げられていたのか。尖閣問題の「反日デモ」よりも、一握りの権力者が優遇される中国共産党に対する不満だ。最近中国国内でベストセラーになっている毛氏の著書は若者に影響を与えている。つまり、「人民による人民のための平等社会」を願う若者に受けている。しかし、毛沢東は2千万人以上の中国人を虐殺した殺人鬼ではなかったのか。

今の中国は一握りの大金持ちと大多数の貧困層による極端な格差社会だ。つまり、中国共産党は平等にあらず、一握りの権力者らが貧困層から富を収奪する仕組みになっている。反日デモに参加した若い勢力の大勢は中国の民主化を望んでいるが、これは中国共産党が消滅することに他ならない。

「尖閣は中国の領土」には根拠がない

尖閣問題について、中国は500年以上も昔から尖閣大正島は琉球政府の領土と認めた資料が残っている。近代では1895年明治政府が日本国に正式編入した。一方、1934年発行の中華民国新地図には尖閣は日本に属すると明記されている。しかしながら、いま中国が主張するのは、尖閣は14、15世紀に中国が初めて発見した。だから第一発見者の中国の領土であるが根拠だ。

彼らはわが国の歴史を否定し根拠もない歴史観を繰り返してきたが、これは国内向けの「愛国教育」であった。つまり、何事も悪いのは日本であって、中国人民は痛みと苦しみを強いられたとなっている。日本の政治と外交が機能不全となったのは政治と教育界が中国の歴史観に同調し過去を放棄したからだ。

日本政府の尖閣諸島国有化に反対する抗議デモが中国全土に拡がったのは、中国政府の意図で行われた。日系企業への放火や略奪、破壊を行うことで国民の不満をガス抜きすることだった。中国政府はなんとか難局を上手く切り抜けて習近平氏に引き継ぎたいところである。

中国の暴動、惨劇の暴虐に学べ

17日、中国外務省の副報道局長は日本企業に大きな被害が出たことに対し、「その責任は日本企業が負うべきである」と暴言を吐いた。中国の政府機関の発言としてこれほど無責任で失礼な発言は世界に類例がない。このような結果を招いたのは、野田首相の常套句である尖閣の「平穏かつ安定的な維持・管理をはかるため」という曖昧模糊とした発言と姿勢が日本国民に錯覚を与えてきたといえよう。

かつての帝国主義時代ならいざ知らず、“自由と民主主義””人権と統治”という民主化時代に、このような中国の暴挙が許されるのは、わが国の完全なる従属外交と機能不全によるものだ。このようなことが度々起こる中国との政治・経済関係であるが、中国が深刻な事態に陥れば暴挙から日系企業への惨殺、破壊に変わり、満州事変の二の舞になる恐れは無きにしも非ずだ。

今回の中国の行為はまさしく、かつての日中戦争前夜に戻った感がある。中国の歴史は暴力や威嚇で相手を追い詰め、他国の領土や財物を奪う悪質な手段は今回の「反日デモ」で証明された。日本企業のイオンは店内の品物が全部持ち去られて、被害額は25億円近くになる。こんな国に投資、合弁、合策、技術移転を行ってきた日本企業はお人好しか、本当の馬鹿なのか。それでも中国に居残って頑張るのは美味しい市場があるからなのか。中国には感謝とか恩に報いるという言葉も漢字もない。わが国指導層である政官財は「日中友好40周年」に酔いしれている。日本に鋭い牙を向けて獲物を狙う虎であることを忘れ政治指導者らは心から中国の駐日大使に恭順の意を示していた。

中国、開戦派が台頭

このような「反日暴動」を米国はなんと報じているのか。まず、サンフランシスコでは約4千人の中国系米国人がデモ行進した。「反日デモ」に関連して米ニューヨーク・タイムズでは中国の人民日報の記事をそのまま引用掲載するほど中国寄りだ。尖閣に関する中国の行動に米国人の50%以上が支持していると報じている。中国の軍縮協会の徐光裕理事は「米国は日本を助けない」と断言した。かつて中国の李鵬元首相は「近い将来日本は消滅する」とオーストラリア首相に語っている。

わが国は東京裁判史観を国民の各層に浸透させ、米中は日本のマス・メディア、政官界、教育界に圧力をかけ、徹底的な弱体化工作を行ってきた。一方、安全保障では米国に依存する体制が作られてきたのである。一方中国では、19日、中国海軍のフリゲート艦2隻が北方海域に姿を現した。人民解放軍は勢いに乗って「開戦やむなし」との対日強硬論が台頭し始めている。

意外な自衛隊の戦闘能力

日中の軍事力対比は中国の総兵力約230万人(日本23万人)、艦艇1090隻(日本護衛艦48隻)、潜水艦約60隻(日本22隻)、戦闘機約565機(日本260機)、以上は平成24年度版「防衛白書」の発表である。これを見ると人民解放軍と自衛隊の戦力の違いは明らかで中国側が優勢であるかに見える。しかし、いざ戦闘となれば中国の最新鋭主力戦闘機J-10(イスラエル製)と自衛隊のF-15の制空権争いになろう。軍事プロの意見によると性能とパイロットの技能が劣る中国との空中戦は自衛隊の圧勝だと断言する。一方、海は中国側のイージス艦「蘭州」と自衛隊のイージス艦では戦う前から勝負ありだ。自衛隊は強力な軍隊だ。わが国では半径400キロ以上を探知できる空中警戒管制機AWACSで中国の動きを遂一キャッチしている。さらに海兵隊の垂直離着陸運輸送機MV22オスプレイの配備が加わる。

本当に尖閣で日中戦争が起こったらどうなるのか。米国は日米安保条約を実効して日本を守ってくれるのか。自衛隊パイロット経験者、防衛省OB、軍事専門筋らの意見を総合すると中国特有の脅しはできても領海内に軍事行動はできないが結論であった。

第11管区海上保安本部では約56隻の巡視船や巡視艇が警戒に当たっている。今のところ中国政府主導の漁船1000隻の出航と人民解放軍の上陸ブラフも自衛隊の壁が厚く「言うだけ番長」に終わりそうだ。米国のバネット国防長官は習近平氏と会談し、有事の際は「日米安保条約」が発効されると告げた。それまで居丈高に「茶番だ」と言った習近平氏が「中国は覇権主義を唱えない」とまで畏まったのである。

次回は10月4日(木)