木曜コラム

山本善心の週刊「木曜コラム」 今週のテーマ     最終目的は日本解体

すでに退陣を表明している菅直人首相が、10月10日の訪中を検討していることがわかった。菅首相は延命のために、次から次へと新しい「居座り」発言を持ち出している。やることはまず増税ありきでこれは国民負担の増大と不況、雇用の喪失が顕著となろう。この増税で税収はさらに減少するばかりか、来年度予算の歳入は見通しも立たなくなろう。今後、民主党内からも反発を招くのは必至である。

われわれは衆院選挙で民主党政権が掲げる「政治主導」と「行政改革」に期待したが、いざふたを開けてみれば、中身は「官主導」「行財政改革の先送り」に他ならず、期待は完全に裏切られた。財政赤字の改革はまず本丸の霞ヶ関が範を示すよう、政治に正してもらいたいのが国民の悲願である。しかし、自らは何の痛みも受け入れず、国民にすべて押し付けてきた。

国家財政はパンク寸前

わが国の国家財政はいまやパンク寸前にあることは明白になっている。これを打開するには、まず行政の無駄遣いをやめる行政改革が先決の筈であった。国民が民主党に期待したのは天下りの廃止や公務員のリストラ、省庁、独立行政法人のスリム化である。

公務員の年収は五十歳前後で1千万円を超えるとされ、退職金も民間の比ではない。たとえば公務員の給与を20%カットしても民間平均給与よりはるかに高い。さらに公務員は親方日の丸で倒産もリストラもなく、身分保障で守られている。一方、民間企業は恒常的な赤字を解消し、経営を継承するためにリストラや給与カットを断行して乗り切ってきた。

菅政権は「政治主義」を掲げたが、力尽きて財務省主導の政策運営となった。すべての予算と歳出の権限を持つのは財務省であるから、公務員の天下りや企業への出向、退職後の生活保障などやりたい放題だ。経産省から東電に公務員の天下りが大量に送り込まれているが、出向、派遣の定年退職後は東電に再就職する仕組みだ。

今こそ政治がリーダーシップを

わが国の財政は一時的な赤字段階ではなく、借金がふくらみ、返済の目途が立たない恒常的な赤字体質だ。しかも、この先税収は先細りで、具体的な経済成長率アップの政策すらない。例えば、農水省などいまだに日本の農業を守るのに汲々として、この時代にそぐわない大組織と人員を抱えている。

次の経済成長力アップとして期待されるのは環境省だ。菅首相はエネルギー政策を見直し、「自然エネルギーを基幹エネルギーに加える」と表明した。今こそ政治のリーダーシップで新時代に適応する新産業の創出が急務である。環境省は自然エネルギーや環境産業を促進できるよう優秀な人材を集めて未来産業の育成に力を入れるべきではなかろうか。日本全体を活性化するためにデフレ・円高から脱却する政策を打ち出せばよい。

民間企業は政府の無策や官僚の無駄遣いで厳しい環境にさらされている。税収のおいしい部分を官僚が独占し、民間には社会保障やばらまきで口封じしている。霞ヶ関官僚は行政改革には反対であり、いかなる相手であれ、これに立ち向かう政治家には頑強に抵抗した。

増税ラッシュは国家破壊への導火線だ

これまで、一握りの勝ち組企業はともかく、90%以上といわれる中小企業は幾度かの経営危機にも政府を頼らず、無意味な規制をものともせず、ぎりぎりの経営で生き抜いてきた。中小企業経営者は自らの自宅を担保にして金策に走り、苦しい経営から税金をやり繰りしてきたものだ。国民は、汗して働き、苦しい収入の中から税金を払ってきたので官僚の無駄遣いは手厳しい。

菅政権は国民の苦しみに逆行して消費税増税を「歴史的な決定」と言った。増税ラッシュは国家破壊政策だ。民主党は現「消費税率の維持」をマニフェストに掲げて政権交代を果たした。しかし実際は全てを官僚に丸投げして増税政策を掲げた。次の選挙で民主党には厳しい審判が下されよう。

図に乗る財務省「赤字再建には消費税30%」と試算

これまで、わが国は国家存亡の難局に国民総意で忍耐し、立ち向かい、乗り切ってきた。わが国民は増税ラッシュに反発しながらも、増税はやむを得ないとお上に妥協する従順な国民だ。最近では増税の前に行政のスリム化という声が聞かれない。財務省は財政赤字のやり繰りに最低30%の消費税増税を必要と試算している。

霞ヶ関は、環境で税収減がさらに続けば予算を執行できなくなる。歳入がなければ国が動かず、財源確保には増税しか知恵がないお粗末さである。この財務省の考え方は非生産的であり不況政策だ。ここ数年の歳入不足は政治と行政が増税に頼る安易な姿勢に問題がある。

これら行政権力に立ち向かう政治家もいた。安倍普三元首相は霞ヶ関に斬り込む前に官勢力に潰された。小沢一郎氏は政治とカネで起訴され、霞ヶ関と検察に執拗な追及を受けている。行革政治家の「みんなの党」代表の渡辺喜美氏もよくがんばったが、福田康夫内閣で潰された。

求められる金融緩和

日本経済は大震災の前からデフレ化と円高で身動きすらできなかった。とくに雇用と生産の落ち込み、株式市場の低迷、不動産の下落、資産の目減りは顕著だ。銀行は、企業への貸し出しを抑制したが、これは中小企業経営の血液を止めるに等しい。

デフレからの脱出と円高から円安に転換するには、金融緩和説が政界に駆けめぐっている。一つは、国債の買い上げを日銀が引き受けたらよい。二つは、国債の対外債権280兆円をはじめ対外資産を担保に日銀は金融緩和政策を実施すべきだ。三つは、震災による復興財源は日銀のコントロール下で金融緩和を行えばよい。これなら低成長、需要不足から脱出できよう。いずれも日銀が国債の一部を買えばよい。

菅でダメなら小沢にやらせてみたらどうか

実際の話、10年度の財政赤字は40.8兆円だ。国債と地方債の発行残高は1千兆円に近い。間もなく公債費は年10兆円(消費税率4%分)の追加支出が必要だ。さらに基礎的財政収支の黒字化には消費税率が30%は必要だ。鳩山由紀夫元首相は財政問題解決には「小沢さんのような官僚システムを熟知している人の協力」が必要だと言っている。小沢氏は増税なしでやっていけると公言している。小沢氏に国政を握らせ思い切りやらせてみたらどうか。

日本経済は2022年までに経済規模がいまの二分の一になるとの試算がある。このままデフレと円高、増税がさらに進めば企業も人も激やせ必至で貧しい日本人が続々誕生しよう。

消費税増税を断行すれば、1987年の橋本不況に逆戻りで、パイ全体がさらに縮小するのは、この15年間のデフレで証明済みである。いま、政治に求められるのは、消費税増税の停止と金融緩和政策の実施に踏み切る大手術が必要だ。

日本破壊政策で国民は目覚めるか

菅首相は愛国心と日本国民に対する配慮の念がまったく感じられない。菅首相は国旗国歌に反対し、天皇に戦争責任があると語ってきた。菅首相は、わが国の歴史を断罪し、日本人を否定する考えが根底にある。菅首相の本質を理解せずして、今回の驚くべき「居座り」は理解できない。

つまるところ、かつての旧社会党がそうであったように、日本国解体が政治目標と思われる異様な行動だ。菅首相は東日本大震災の後、被災地復興を放置し、陣頭指揮をまったくとっていない。

菅首相を取り巻く側近らの情報によると、菅夫人が首相をコントロールしているという。菅夫人は首相権力を最大限行使して、“首相は最後まで辞めるな” “最後にくたばって倒れるまでやるのが男の美学だ”と、毎晩夫を叱咤激励しているとは側近筋の話だ。

筆者も、菅首相の日本破壊政策を最後までつらぬいてほしいと願っている。中途半端に終われば「ポスト菅」で同じような政治家が同じような愚を繰り返すだけだ。しかも後継者は見当たらず、菅以下だ。わが国の腐敗と堕落は国家を統治する立場の政治家と、官僚が国民を食い物にしてきたことだ。菅首相の日本破壊政策は日本国内に大きなインパクトを与えれば間違いなしで、国民意識が目覚めよう。国民が変われば、国の改革は一気に突き進むことになろう。

次回は7月21日(木)です。