木曜コラム

山本善心の週刊「木曜コラム」 今週のテーマ  リーダーとしての品格、ルール無き者は去れ

最近、国会議員のノーネクタイ姿がやけに気掛かりだ。数年前から環境省が推奨したクールビズの影響だ。暑い日のネクタイは日本の気候では辛く、これは能率が上がるとの意見もあるが、議員のクールビズ姿を見るたびにつくづく国会議員のイメージが軽くなったと思う。

国会議員は国民に選ばれ国政を担う国民の代表であり、人前で政策を語り、元気な姿を見せるのが仕事だ。人の上に立つ者はイメージが大切である。衆議院議員の三井わき雄氏などはノーネクタイであってもセンスがあるが、センスのない人がノーネクタイになれば貧相に見えて仕方ない。菅直人首相のノーネクタイ姿を国会中継で見るたびに、そのあたりのあんちゃんと同じに見える。国会は民間施設より温度が低いし、しのぎやすいはずだ。せめてテレビに出演するときくらいはネクタイを着用してほしいものだ。

人は見た目で判断される

人間は成長と共に人格と品格に加えて外見が重要である。いかなる分野の方であろうとそれなりの立場にある人は服装とか髪形はきちんとするのが常識だ。つまり、それなりのセンスと人格というものがあって人間の価値が存在しよう。

クールビズがよいという人もいるが、総理大臣という立場では通用しまい。風采は心の様相を表すというが、人の上に立つ社会人としての基本的な条件との見方もある。変わり種としてホリエモンもノーネクタイで通した人であるが、メディアにとっては格好の標的であったと思う。人は人の服装やネクタイ、センスを見て相手のレベルを判断する場合もある。

まず、服装や髪形がだらしない人は仕事も人間関係もいい加減な人が多い。不思議なことに身なりのきちんとした人は仕事も細やかで繊細である。また、自分で整理整頓ができない人は仕事もでたらめだ。これはあくまでも筆者の意見であり、哲学である。

偽りの退陣表明

話は政局に入りたいと思う。なんといっても話題の中心は菅首相の退陣表明だ。わが国民の大勢は本当によかったと胸をなでおろした。この一年間、菅首相は何をしたのかと問われると答えようがない。外交、経済はおろか、目先の増税、失業、震災復興など何ひとつ成果が見当たらない。ましてや東北大震災から三ヵ月、政府は何もせず機能停止のままだった。

そればかりか、鳩山由紀夫前首相との約束を平気で破り、年内はおろか来年まで政権の座に居座ろうとする気配もある。怒り狂わんばかりの鳩山氏は「政治家同士の約束が守れないならペテン師だ」と言った。これは菅首相の本性を暴露する適切な文言であり、的を射た言葉だが、前首相が菅首相を詐欺師呼ばわりしたのは前代未聞のことであった。

菅首相は党内の大勢が辞任せよというなら「解散、総選挙だ」と側近筋にうそぶいた。これは小沢グループの一年生議員への脅しであろう。小沢一郎氏も「菅は何をしでかすかわからない」と述べているが、選挙をやれば民主党が全滅に近い状況になることは確実だ。そんな解散を菅首相はやる訳がない。

未遂に終わったクーデターが党内に残したしこり

野党提出の不信任案で小沢氏は可決に必要な71人の民主党議員を集めた。もし鳩山氏と菅首相との約束がなければ与野党で可決となり、菅首相は不名誉な退陣を迫られていたはずである。民主党小沢氏の菅首相への退陣要請は革命であり、クーデターに近い大決断であった。

菅政権の小沢潰しは執拗で強引であった。これらを画策したのが仙谷由人氏であり、それを実行した共謀者は前原誠司、枝野幸男、岡田克也、野田佳彦氏ら菅執行部である。彼らは総選挙で相次ぐ敗北に責任すら取らず、小沢潰しに奔走した。菅首相の小沢斬りは政治の常道から外れ、内部に深い溝を残した。

菅政治は仙谷路線で、政治の左傾化を加速させている。残りの任期中にあらゆる体制づくりを整えていこう。彼らの戦術・戦略はまったく中国と同じで「嘘から始まり嘘で終わる」革命戦術を常用している。鳩山氏を騙し、小沢氏を孤立に追い込む騙しのテクニックは見事というほかない。しかし、日本社会では「嘘」は禁じ手であり、品性と品格に欠けたルール無き者は相手にされない社会だ。「嘘」は菅首相の延命どころか寿命を縮めることになろう。

わが国で禁じ手であった「嘘」を連発する菅首相

わが国最大の権力を持ち、政治を自由自在に操る菅政権にあって、仙谷氏は岡田、枝野、前原、野田氏ら4人組を巧みに使い、次世代ホープに仕立て上げてきた。民主党政権はかつての韓国、金大中、盧武鉉政権と同じ左翼政権の実態が露呈しつつある。つまり、親中、親韓外交を優先する反日勢力ともいわれている。

しかしながら、わが国の民族性は長い伝統文化に培われた歴史があり、道徳と精神性が脈々と日本人の血の中に流れていよう。さらには、自由と民主主義を価値観とする政治の仕組みとシステムが定着している。わが国の天皇制を基盤とする体制を、容易に崩せるものではない。わが国は昔から村社会の集合体が国家を形成してきた。日本人の集大成は教育勅語に集約されているが、“思いやりと生かし合う”嘘のない素朴な社会である。

しかし菅政権は政治の原則である王道から大きくカーブを切り、覇道政治に終始している。自らの願望を達成するための嘘は常套手段として使われるが、日本人の本質と相容れるものではない。嘘は最後まで貫き通せば成功することもあるが、ばれたら命取りだ。政治は世論というが、良識ある国民の大勢がそれを許すことはできない。

かつての盟友が語る菅直人

6月5日付産経新聞に菅首相のかつての盟友である田上等氏の談話が掲載されていた。田上氏は菅首相と政治行動を共にした仲間である。田上氏は市川房枝元参院議員時代からの付き合いで結婚の仲人を菅首相が引き受けた間柄だ。

菅首相をよく知る田上氏は今回の「嘘」騒動について「菅氏がペテン師と呼ばれて当然のことです。すぐばれる嘘なんてしゃれにもなりません。粘って時間稼ぎをしていればそのうち世論もついてくると考えたのでしょう。しかし、そんな延命策には誰もついてきやしません」と語る。

さらに、田上氏は菅首相について、「当時から菅氏には国家観や哲学なんてものはありませんでした」「一度手にしたチャンスは絶対離さない」と言う。「結果が思うように出ないと責任を人のせいにする性格がある。菅は首相としての立ち居振る舞い、帝王学を学んだわけでもなく、たまたま自分のバイオリズムと世の中の周波数がかみあっただけ」と語る。

メルトダウン寸前の日本経済

菅首相の無能ぶりは書いてもきりがない。延命第一の無策なパフォーマンスが続くなか、日本経済はメルトダウン寸前だ。結局は経済政策はまったく放置されたままである。たとえば、本年1―3月期のGDPは年率概算で3.9%のマイナス成長と聞く。しかも大震災関連の経営破たんは2.5ヵ月で115社に達する(東京商工リサーチ)。

今回の大震災で日本の大黒柱である自動車業界の惨状は酷い。円高、法人税率、労働法制、環境対策、自由貿易協定などの失速に電力不足が加わり売り上げは各社とも激減している。

しかも厚労省の大震災による東北三県の失業者は10万人規模にのぼる。トヨタ自動車も「日本での生産は限界」と言っているので売り上げ減、生産減、利益削減、雇用の削減、利益の減少など悪循環が止まらない。韓国でも広大な土地を造成し、インフラ整備を行い、東北から日本の製造業を誘致するため、目下準備中だ。わが国製造業も裾野が広い自動車、電機など生産拠点の海外移転を計画中だ。

「一定のめど」とはいつのことか

菅首相が明確にいつ退陣するとも明らかにしていないのに各紙は一斉に大連立だの、公認首相選びが紙面を賑わしている。つまり、「一定のめどがついたら引き継ぎます」ではいつになるかわからない。8月二次補正を提出後、9月米国訪問を花道に、来年1月冷温停止をめどに…等々首相の退陣論は喧しい。

しかしながら、民主党は菅首相のいう解散もできないし、大連立も難しいとみられている。それでも菅政権を引き延ばし、先送りするために、菅首相は解散という脅しをちらつかせた。

これほど早く辞めろと与野党から罵倒された政治家はいなかったのではないか。人間は品性と品格無き人物は許さない。首相の座にしがみつく見苦しさをさらし続ける菅首相の哀れな姿を筆者は見るに忍びない。

次回は6月23日(木)です。