山本善心の週刊「木曜コラム」 今週のテーマ     日教組の政治とカネ

2010年07月08日

戦後、日本人の質的低下と教育現場の惨状は目を覆うばかりだ。中・高の教科書には「世界の平和」「人類の幸福」がやたらと出てくるが、道徳心やわが国の伝統や文化といった精神性、民族性の部分がすっぽり抜け落ちている。先人たちの歴史的功績を伝えない教育とは、国家の継続を破壊することにつながるものではないか。いまわが国の若者が日本民族としての自信と誇りを失っているのも戦後教育の後遺症にほかならない。

警察庁発表によると、平成21年の自殺者数は3万2845人となり、21年間連続で3万人を超えた。年代別にみると20代、30代の若者が過半数を占める。自殺の動機は失業による生活苦もあるが、うつ病をはじめとする精神的な病が多いという。

過去これほど、若者の夢とロマンが失われた時代があったであろうか。わが国政府は歴史的転換点に立ち、これまでの教育、企業構造、安全保障体制、憲法改正を余儀なくされている。わが国が直面する危機的症状の一因は、国のリーダーたちによる政治や行政が国家という大局観と政治を放棄した結果といわずなんといおうか。

教科書を使わない学校現場

いまや、教育現場は荒れ放題であり、文科省や教育委員会は全く機能せず、子供たちを守る術もなく、教育は未曾有の危機に瀕している。たとえば、中学校の社会科で市教育委員会が採択した自由社発行の「新編・新しい歴史教科書をは日教組が排除した。教師らは教科書に代わる「授業マニュアル」を勝手につくり、偏向した歴史教育を生徒らに押し付けていた。このような現場状況を未だに放置している政治と行政はまさしく末期症状だといえよう。

小中学校では、文科省の検定に合格した教科書の使用が義務付けられているが、横浜市の小中学校の教員らで組織する「横浜市教職員組合」(浜教組)は「文科省検定の教科書は内容上の誤りが多い」として、独自編集の「中学校歴史教科書」を組合員に配布し、授業で使用するよう教師らに指示している。

注意を促すと組合側は「教科書を否定するわけではないが、お上からの警告は組合活動に対する嫌がらせであり、不当な干渉だ」と反発する。文科省、教育委員会の採択した教科書が教育現場で使用されない、わが国教育行政の存在とは何か。

学校は思想教育の現場か

浜教組の組合員らは文科省、教育委員会の警告を無視して独自の資料で授業を行っている。横浜の元中学教師によると組合の資料は反日歴史観と平和主義、平等思想で埋め尽くされているという。かつてのマルクス共産主義思想であり、イデオロギー思想による洗脳教育だ。浜教祖のやっていることは教育の政治活動であり、矛盾やゆがみは限界に達している。

韓国や中国が言う歴史観とは、明治以来の近代史であった。わが国が他国を侵略、虐殺、掠奪したという、具体的な事件の証拠根拠が示されず、言葉だけが独り歩きしている。韓国の知人は、「日本の歴史罪悪論は日本から輸入されたものだ」と述べていた。

最近、わが国に対する歴史的断罪を覆す偽写真の発見や作り話の解明が明白となり、中国でも歴史問題に関する発言のトーンが低くなってきている。こうした変化に伴い、学校現場は日教組が支配する無法地帯であるとの実態が浮き彫りとなり、現場の父兄や教育専門家からも「組合活動は政治闘争、イデオロギー闘争の場である」との日教組批判が大勢だ。

日教組マネーは国税

「神奈川県教職員組合」(神教組)で、県から小中学校の主任教員に支給された「主任手当」の原資を補完する「教育振興基金」の約8億円が会計上、消えていることが5月1日、産経新聞の調査でわかった。

この巨額な消えた基金の委譲先は浜教組であるが、平成19年度の決算報告書では神教組から5606万円は記載されているが、残りの8億659万円についての記載はなかった。教育振興基金とは県から毎月1人3千円ずつ主任教師に支給される公金だ。昭和51年度から始まり、浜教組では55億円も残高があると聞いている。

この主任手当は教員の給与改善のために文科省から支給される公金だ。東京都では年間2億1千万円、広島県では年間8600万円もの主任手当が支給されている。これらが主任教師に渡らず自動的に組合に管理され、自由に選挙活動資金や組合議員に対する政治献金に使われてきた。これは明らかな政治資金規正法違反(企業・団体献金の禁止)である。

北教組の裏金

日教組傘下の北海道教職員組合(北教祖)が民主党の小林千代美議員に対して1600万円の違法な資金提供を行い、組織ぐるみで候補者の面倒をみていることが明らかになった。小林陣営の経理担当者が逮捕され、起訴事実を大筋で認めている。しかし、当時は小林議員への辞職勧告もなく、民主党から「政治とカネ」に対する批判や自浄作用も働いていない。

民主党は予算の無駄をカットするマニフェストを掲げて政権交代を実現した。クリーンなイメージで政治改革を唱えて来たが、支持母体である日教組から全面的な応援を受けていた。しかし、教員らによる支援は「教育公務員特例法」で禁止されている。日教組による相次ぐ政治規正法違反事件の実態は尋常とはいえない。

教師に教えるチェチェ思想

日教組の活動は「国家解体」が最終目的であるとの意図が明らかになりつつある。子供たちを反日分子に仕立て上げれば、今日の世情に見る国家の崩壊現象がさらに加速されよう。さらに日教組の目的は偏向した「教育革命」から「政治支配」の実現を目論んでいる。日教組出身の議員が革命の先導役となる。

民主党の興石東参議院会長は日教組の政治団体である日本民主教育政治連盟の会長である。この興石会長は、「教育の政治的中立と言われても、そんなものはあり得ない。政治から教育を変えていく。私も日教組と共に闘う」とはっきり述べている。これは神聖な教育者としてあるまじき暴言ではないか。これまで日本の教育を悪くしてきた日教組がさらに政治権力を手中にすれば、わが国教育の完全崩壊が達成されよう。

日教組の教育資料は自虐史観による反日的な歴史観と反戦・平和教育である。元浜教組の所属する教師によると、教師の中には北朝鮮から渡来した工作員で日本人に帰化した教師が中心と聞く。彼らは金日成のチェチェ思想を無理やり教師仲間に指導するおぞましさだ。

民主党は覇者の政党か

民主党の行事には国旗「日の丸」の掲揚と国歌「君が代」の斉唱が行われていない。国旗と国歌はわが民族のシンボルであり象徴であるが、彼らは全く無視している。これは民主党がわが国の存在を認めない政党であり、過去の長い歴史や文化、伝統による民族性や価値観を否定する反日政党だと見られても仕方があるまい。

中高の社会教科書には二宮金次郎から日露戦争に至るまで歴史上の偉人が掲載されていない。これはわが国の社会科歴史教科書が、わが民族と先人たちの労苦や功績を全面否定していることだ。その一方で伊藤博文元首相を暗殺した韓国のテロリスト、安重根が掲載されているのはご存じであろうか。これでは国を愛し、郷土や家族の歴史を愛する日本人は生まれてこない。

こうしたでたらめな教育現場の実態を長年放置してきたのは文科省教育委員会の監督不行届だ。道徳教育に反対し、わが国の歴史や伝統を全面否定する日教組に同調する民主党政権にも国民の大多数は危惧の念を抱いている。民主党は選挙の票のためなら何でもありの姿勢で国民の不信を掻き立てている。日教組による覇道政治はやがて大きなツケが重くのしかかろう。

若者の未来に誇りと自信を

メディアに登場する小沢一郎幹事長と興石東参議院会長は一心同体のように見える。興石氏は教育の政治支配が目標だ。一方の小沢氏は「日本改造計画」という自著で、「教育が、真に教育者として子供の教育にあたるには、労働者意識を払拭する意味でも、労働三権は認めないようにしたい」と新・教師聖職論を述べている。

興石氏による教育の政治支配と小沢氏の教師聖職論は真っ向から対立するものだ。小沢氏は一度約束した問題を反故にすることはしない。小沢氏は、本音では日教組とは民主党が政権を奪取するひとつの過程として考えている。次なる行動を起こすときは足手まといになるのも覚悟の上だ。

わが国は未来ある日本の若者に夢と希望を与える対策を早く示すべきではなかろうか。これからはわが国の若者が誇りと自信を持てる実感を政治がつくるべきだ。

次回は7月15日(木)