山本善心の週刊「木曜コラム」 今週のテーマ     左翼民主党政権の誕生

2010年06月17日

菅直人氏が平成22年6月8日、第94代内閣総理に就任した。菅新首相の誕生で民主党の支持率は各紙平均17%から60%以上に、参院比例区の政党支持率も「民主19%、自民19%」から「民主39%、自民13%」に回復した。前回参院選の60議席を上回る勢いだ。

政治はリーダーが変われば支持率が上昇し、新首相の能力や政策次第で急降下する。今回の世論調査の結果は鳩山前首相の不人気による反発と「反小沢」を鮮明にすることでV字回復したものだ。これは歴代政権発足時のご祝儀相場と新政権への期待が重なる「合わせのメカニズム」の相乗作用である。

最近、各紙の世論調査で政治の行方を支持率如何で操作するという場当たり的措置がかまびすしい。ましてやこの世論調査という人気とパフォーマンスの結果次第で政治と政党が左右されれば理念と政策がなおざりにされる。わが国危機の一端は、国民と国のリーダーたちが政治を弄び大局観を失った小手先政治だ。

国政をミスリードする世論調査の弊害

13日弊会「新芽の集い」が開催されたが、菅新首相のことで話題はもちきりであった。参加者はオーナー経営者が大勢で、しかも内外の政治状況には見識ある方々ばかりである。参加者は菅氏の新首相就任を歓迎するが、氏が市民を掲げる左翼運動家であることに懸念を示した。しかも能力や実績が未知数なリーダーであることに不安と不信を隠せない。

我々は常日頃メディアによって国内外の情報を受け入れており、政治的な判断材料はマスコミの情報に頼るほかない。話によると、沖縄米軍基地問題では9万人の県民が結集し、反対デモを行ったとされるが、現地の知人らは1万5千人位であったと言われ、その実態とは数倍の開きがある。さらに住民の多くは米軍基地の県外・国外移設に反対で、現場の声が正しく伝わっていない。

世論を味方に引き付けるには、正義と悪に区別して正義を称え悪を退治すればよい。時代劇の勧善懲悪の筋書きだ。証拠不十分で不起訴となったが小沢氏はカネに汚れた政治家として負のイメージがすっかり定着した。この大悪人を菅新首相率いる奇兵隊内閣が成敗するという筋書きは通用するのか。

菅の脱・小沢が成功

6月3日、菅氏は「国民の不信を招いたのだから、小沢幹事長はしばらく静かにした方がご本人、民主党、日本の政治にとってよい」と代表選の出馬会見で述べた。民主党政権誕生の立役者をコケにするものだ。しかし、なんでも「悪いのは小沢」で支持率が伸びるなら今後も「やはり悪いのは小沢だ」という安易な前提が独り歩きしよう。

一方、これは菅・小沢の出来レースではないかとの見方もあるが、本来なら小沢氏はそんな小手先を使う政治家ではない。今回の鳩山・小沢辞任は6月2日、菅・仙石氏ら七奉行によるクーデターであり、小沢外しとの見方もある。

参院選後に小沢派が逆襲

菅新首相は今後当面する外交・経済の立て直しができるか、その能力と手腕が問われよう。しかし政治手腕は全くの未知数で期待できない。ましてや七奉行も市民運動家であり、経済や実績に乏しい存在だ。彼らは権力を握ったが、世論とはとかく移ろいやすい。

菅首相を支える仙石由人官房長官や枝野幸男幹事長らも党内の支持基盤がない。菅氏が「脱小沢」を武器とすれば、参院選後に党内最大派閥の小沢氏らが牙をむき出しにしよう。ましてや参院選で勝利すればさらに小沢グループは増殖する。党内に支持基盤を持たない菅内閣にとって痛しかゆしである。今後国内外の難関山積に加え、外交や経済回復に彼らはどこまで世論の期待に応えられようか。

小沢の起訴は潰れた

鳩山前首相は70名近い支持基盤と小沢幹事長の後ろ盾を持ち、盤石の態勢で政権をスタートさせたが、当の鳩山氏自身がリーダーとしての資格に欠け、国家の安全や繁栄に対する明確な基軸を示すことができなかった。沖縄の米軍基地問題では文言と口先だけが先行して、米国の不信を募らせ、沖縄県民を迷走させるなど、国民の信頼を失った。

一方、小沢氏は選挙にかかりきりで民主党内の派閥拡大に没頭した。しかし検察の「政治とカネ」による小沢叩きは着々とマイナスイメージを作り上げている。

検察のトップの中で小沢起訴に最初から反対した元凄腕検事の大林宏東京高検検事長が就任。大林氏は徹底した証拠第一主義で「小沢起訴」の立件は難しいと判断し不起訴にした。

西松事件に対する検察の暴走批判で東京地検のトップが異動したが現場担当官の検事らも左遷されたと聞く。しかし、小沢氏の「政治とカネ」は「検察審議会」の審査補助員らによる7月未強制起訴の選定が注目されている。

党内抗争より政策の実行を

菅政権は鳩山政治を踏襲するというが、菅政権は①米国主導②官主導③市場原理主義の復活④大資本との癒着等自民党利権政治への回帰が懸念されている。

菅氏は既得権益勢力と妥協したと見られている。財務相時代には消費税アップと増税に取り組むと発言し、財務省主導の年間12兆円政府支出削減案の断行を容認している。これではさらなる深刻な不況は間違いなしだ。

ともあれ、菅政権が取り組むべきは「米軍普天間基地の最終整備」「税金の無駄遣いをカットする行財政改革」「年金制度改革などの社会保障」「雇用をつくる景気対策」など具体的な政策の実行が問われている。さらに民主党マニフェストによるバラマキ型政策の見直しは緊急課題だ。民主党らは前回選挙で20.5兆円の無駄遣いをカットできると主張していたが、大がかりな仕分け劇場を経ても歳出削減は7千億円にも達していない。

鳩山政権は行財政改革を公約に掲げながら、実際はバラマキ型の歳出予算で財源の大盤振る舞いを行って来た。菅氏らは党内抗争や政治的イデオロギーにうつつを抜かしてる場合ではない。平成23年の予算編成は歳出と税収の差額が51.3兆円に上ると試算されている。つまり今後赤字国債の発行は50兆以上になる。

民主党のムダ遣いとは

朝日新聞は社説で、「新首相を表現するキーワードは、『市民』」「『市民運動』出身の菅氏の力量が試される」と激励した。市民とは何か、国民との違いはどこにあるのか。「市民」の本質は国境を超えた他国市民らとの連携、平和と友好の人類愛を指して「市民運動」と解く。そこにはわが国の伝統文化、郷土や家族、愛や歴史観が欠如している。鳩山氏が言う「平和の海」「友好の海」というキャッチフレーズは平和主義者らのシンボルである。ちなみに鳩山氏は最近まで「地球市民」を連呼した。けれども市民には国家国益を守る責任ある理念と行動がみられない。

市民運動家が国家を断罪し市民の味方を闊歩できたのは野党時代までである。民主党は口先では行財政的改革と歳出カット、生活第一を政策目標として来たが、子供手当、高校教科書の無償化、高速道路の無償化など選挙目的の無駄遣い政策が実行できない方向だ。つまり税収不足を無視した行政から市民へのタレ流しだ。

菅政権を支える面々は旧社会党出身の仙石由人氏、夫婦別姓導入推進の千葉景子法務相をはじめ、実質的な左翼政治家が中心である。つまり、国家国民より市民を重視する市民中心の政治勢力である。市民政治を代表して昨年9月菅氏は沖縄の喜納昌吉参院議員に「沖縄は独立した方がいい」と語った。菅氏は非国民であり、愛国心を持たない責任なき政治家と思われても仕方ない。

反国家思想を持つ首相

菅氏はフジテレビの「報道2001」で「日中間の歴史認識問題に関して、「日本自身がやったことでどう判断するかが問われている」との考えを述べた。また天皇問題で「日本自身が日本の負ける戦争を何一つ問われなかった。天皇陛下は退位されたほうがよかった」と天皇制廃止と天皇の戦争責任を明言している。さらにわが国の国歌・国旗には反対で君が代を一度も唄ったことがないという。もっと酷い話は複数の日本人を拉致した北朝鮮の大物スパイ、辛光洙(シン・ガンス)を英雄と称えた。これは日本人であれば絶対言えない発言である。

千葉大学名誉教授の清水馨八郎氏は「菅直人は韓国の済州島出身者である。政治の公職に就くものは資産の表示だけではなく、祖父母までの三代にわたって出自を義務付けるべきだ」(國民新聞)と指摘している。

現政権が進めようとしている永住外国人の地方参政権付与、選択的夫婦別姓制度は日本国と家族の基礎を根底から破壊しかねない政策であることは明白である。どのような理屈があろうと菅新内閣は日本の近現代史の中で稀なる国家解体思想を持つ政権といわざるをえまい。

次回は6月24日(木)