山本善心の週刊「木曜コラム」 今週のテーマ     わが国周辺が危ない!

2010年06月03日

最近、わが国を取り巻く国際情勢は緊張感を増す一方だ。3月26日韓国海軍の哨戒艦が黄海付近を航行中爆発炎上し、乗組員104人のうち46人が死亡・行方不明となる大惨事が起きた。調査団らは水深40メートルから哨戒艦を引き上げ、周辺現場でスクリューや爆薬を回収した。分析の結果、旧ソ連時代に社会主義国で魚雷に使われた軍事用高性能爆薬「RDX」であることがわかった。調査団は、これらの物証によって韓国政府は北朝鮮の魚雷攻撃が原因であると断定した。

魚雷攻撃の脅威

合同調査員らによると、調査が進むにつれ、魚雷の破壊力の凄まじさに中国が一枚噛んでいるのではないかとの憶測がささやかれだした。北は、高性能爆薬250キロ規模の魚雷を持ち、小型潜水艦10隻超を含む70隻の潜水艦を保有するとみられている。

こうした魚雷が今後わが国近海で迂回するとなれば、韓国、米軍のみならず、世界トップクラスの性能を誇る海自潜水艦にとっても脅威となる。今回の魚雷による奇襲の成功で他国への魚雷拡散が懸念されよう。このままいけば今回と同程度の威力を持つ魚雷を整備した潜水艦が日本海域に出没する日もそう遠くはあるまい。


それでも中国は北を制裁しない

米国と日本は韓国に同調し、対北朝鮮制裁の強化に向けて動き出した。一方中国の対応が注目されるところであるが、北は手に負えない子供のようなものである。本来なら中国はこの一件に対して北朝鮮を牽制し、調整役を果たすべきだが、5月の金正日氏の訪中時には中国が異例の熱烈歓迎を行っている。

中国は、北への制裁決議が論議され、如何なる国際的世論の反発があっても同調できないお家事情がある。北は核を10個も保有し、中国に向けたミサイルを大量に配備している。しかし経済制裁を行えば、大量の難民が中国に押し寄せてくる可能性もある。さらに中国の安全と防波堤には、北の存在は絶対不可欠だ。

中国は北朝鮮に経済援助を行い、北の改革開放に期待している。しかし、北を解放改革に導くことは金正日体制を崩壊せよに繋がるもので、それはできない。それより金正日の頭にあるのは米国との二国間交渉であり、金体制安定の保証である。しかし、米国は米朝合意に消極的だ。

軍拡を続ける中国の脅威

わが国にとって北朝鮮による魚雷攻撃と潜水艦の威力は安全保障上、見過ごせない課題だ。もう一つの難問は、わが国周辺の海洋権益を脅かす中国艦の動きが慌ただしい。すでに中国は米国を脅かす軍事力の拡大に力を入れていた。

5月の弊会時局プレス会議で中国軍事専門家の平松茂雄氏は、「中国海軍が東シナ海からグアムに近い西太平洋海域に進出しているのは米国への挑戦状だ。中国海軍が西太平洋で展開する既成事実が積み重なれば、米軍の行動は著しく制約され、事実上日米安保体制は無力化する」と警告している。

中国の西太平洋海域の違法活動に対して、5月26日離島保全を図る「低潮線・拠点施設整備法」が参院本会議で可決、成立した。わが国では3ヶ月以内に「特定離島」と定めて国が管理を行い、護岸工事や港湾整備を行う。わが国政府もようやく動き出したといえよう。

中国の海洋調査活動は日本の排他的経済水域(EEZ)による日中中間線を決めている。奄美大島沖の東シナ海で活動中の海上保安庁の測量船「昭洋」が中国船に作業中止を警告されたが、これはEEZの中間線から約40キロ入った日本海海域だ。中国は日本側の海域を認めておらず、あくまで中国側の勝手な基準を主張している。今後は日本海の海域内でも中国の干渉が始まると推測されている。

中国海軍ヘリが自衛艦を挑発

4月21日午後、沖縄南方で、わが国の海上自衛隊の護衛艦に中国海軍のヘリコプターが90メートル近くまで接近して威嚇した。これは海上自衛艦に対する意図的な挑発行為である。これがもし米国やロシアであればヘリコプターは撃墜されていたであろう。これに対して外務省は形式的に抗議の姿勢は見せたが、同じ頃ワシントンで日中首脳会議が行われた際、鳩山首相はこの一件について一切言及しなかった。これはわが国の国益と対中外交を放棄した姿勢に他ならない。

鳩山首相は東シナ海を「友愛の海にしたい」「平和、友好の海にしたい」と平和外交を理念に掲げて来た。その直後からわが国近海は中国により危険な海に様変わりしつつある。中国は友愛の海を支配し、国益の海に変えようと暴走している。わが国政府は事態が起こった時点で執拗に警告を促し、国際的にアピールすべきだった。わが国の領海を侵犯し、危険な活動を放置すれば後で大きなツケが回って来る。

中国は相手が一端弱みを見せるとそこにつけ込んでさらに危険な行動に出てくる。ましてや、わが国領海内で活動する海上自衛隊の測量船にまで威嚇干渉した。これら中国の暴走に対してわが国中国担当の外務省課長は「中国外交に原則があるというのが間違いだ」と述べている。

国益を損なう「友愛」外交

わが国政府の弱腰外交は中国の暴走を許し、身動き出来ない状況を作りつつある。西太平洋での中国艦艇や潜水艦による大量進出はやがて既成事実化され中国の海になる前兆だ。これはわが国の将来にとって死活問題に発展しよう。

1956年10月当時、故鳩山一郎首相は、ソ連との国交回復を行ったが、そのテーブルで北方四島の返還要求を持ち出さなかった。当時、鳩山外交は、ロシアとの平和と友愛を前提とするもので、わが国の国益を考えない外交交渉だと言われた。自国の国益を放棄した日本の首相に対し、当時米国の大統領以下、「彼は世界史に汚名を残す政治家だ」と軽蔑されたものだ。

わが国政府はこれらの失敗を継承してはならない。北方四島のみならず尖閣諸島まで放棄してはならない。中国はわが国を平和共存のパートナーとは考えていない。中国は日本の技術と資金を搾取してやがては属国にすることだ。中国外交は国益を重視する正しい外交である。鳩山由紀夫首相のいう「平和と友愛」は所詮夢物語で、現実を見ようとしない外交回避に他ならない。

中国に「友好」という考えは存在しない

国益とは領土を巡る争いであり、国と国とが交渉を通じて決着が着かないときは武力によって解決する。ゆえに中国に「日中友好」などという発想はない。日中友好を唱えているのはわが国の親中派や中国を祖国と考える反日勢力たちだ。中国による反日とは日本を断罪する政治闘争であり、国内紛争を解決する手段である。

日中友好とは、一般の国民にとって実に耳ざわりがよい。無意識のうちに洗脳され、中国に理解ある日本人が大量に輩出されたので中国外交は表向き微笑外交と融和政策に切り替えた。そのうらでは、整備の増強と近代化を加速させ、わが国近海を我が物顔で航行する既成事実化が横行している。

沖縄基地問題では一応辺野古に決まったが、地元に受け入れられるか難問山積だ。米国は日本側の対応に不信感が募る一方だ。仮想敵国である中国の攻撃を守るには沖縄基地が最も効率的な戦略拠点である。わが国政府が米軍基地をあまりに軽く考えてきたツケが、今廻ってきたようだ。

日本の安全は米国に頼れない

日本を取り巻く国際環境は今後さらなる厳しい局面が予測される。米国は軍事大国化する中国と面倒は起こしたくない。最新情報では、米国オバマ大統領が「中国に対する封じ込め政策は止めた」とする声が漏れ伝わってくる。ここに来て、中国の動きが一気に危険な行動に出て来たことも関係がありそうだ。

オバマ氏を取り巻く東アジア外交問題の主要メンバーはゲイトナー、キャンベル、ゲイツの3人の親中派である。彼らはキッシンジャー・アソシエイトの社員であった。キッシンジャーが永年にわたり中国から多大な援助を継続的に受け入れていることは本人も認めている。オバマ大統領の中国重視政策と東アジア政策の変更は「親中反日」派のキッシンジャー氏らの動きを抜きには語れない。

民主党政権になってこれまで培われてきた日米のパイプが途切れた。外務省と防衛省は米国の言いなりで何もできない。これまで鳩山内閣は「日米対等外交」を振り出しに、米国を軽視した政策と姿勢だけが鮮明になっている。今後日米同盟や日米安保条約は形式化し、機能不全に陥るのではないか。米国側は後退し、すでにわが国は自国防衛に転換せざるを得ず、憲法第9条の改正は賛否両論を問わず大きな政治課題にならざるを得まい。

次回は6月11日(木)