山本善心の週刊「木曜コラム」   今週のテーマ     外国人の参政権付与に潜む国家解体の危機

2010年02月18日

政府は今通常国会中に永住外国人への地方参政権付与法案を提出する意向だ。この法案に賛成しているのは民主党の小沢一郎、鳩山由紀夫、菅直人、岡田克也氏ら幹部である。しかし、党内の保守系所属議員や連立与党である国民新党代表の亀井静香氏らは否定的だ。この問題に関して韓国李明博大統領と小沢幹事長、管財務大臣は、すでに外国人への地方参政権付与に関する取り決めと実行を約束。鳩山首相も追認しているが、これは党内の反対意見や国民の意志を無視したものであり、今後大きな問題となるだろう。

昨年の衆院選で民主党のマニフェストから外されていた永住外国人への地方参政権付与が、選挙後に再び持ち出されてきたのはなぜか。なぜ民主党首脳は法案成立にここまで執念深いのか。これにはわれわれ日本民族の理解と想像をはるかに超えた思惑があるに違いない。それゆえ、筆者らはこれまでこの問題には一度も触れないでいた。

外国人地方参政権は憲法違反

まず、永住外国人への地方参政権の付与は憲法違反だという意見がある。その根拠は、憲法前文にある、参政権とは「国民主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」という文言だ。「国民に存する」とは、日本国民の意志が発現され、淵源とする能動的権利だ。

日本国憲法13条には、「地方自治の章」でわが国の「住民」と規定されている。これは日本国民であり、その地方の住民でない限り、地方参政権は行使できない。それゆえ、民主党の法案提出は違憲と言わざるを得ず、まず民主党内で憲法論議を活発に行う必要がある。

国民の意志から発する権利を外国人に同等の権利を与えるとすれば、憲法13条の改正が必要だ。これまでも外国人の精神的、身体的、経済的な自由などによる基本的人権は保障されてきたが、今後も変わることはない。

推進派の先蜂も持論を撤回

しかし、外国人にも地方参政権を付与できるとする「部分的許容説」に対する解釈だ。長尾一紘・中央大学教授(憲法学者)は一貫して「部分的許容説は合憲」と主張し、法案推進派の理論的支柱であった。ところが、鳩山首相が提唱する「東アジア共同体」と「地方主権」が政策の中心になれば、「これは国家解体に向かう危険な法案になる」と持論を覆す。

長尾氏がこれまでの持論に疑問を抱き始めたのは、民主党政権の政治的意図が露骨になってきたからだ。鳩山氏の「地方主権」とは、国と地方を並列に置き、防衛と外交以外は地方に権限を移すもので、この政策で地方が絶対的な権限を持てば、国家解体に向かう危険な政策に変わる。長尾氏は自らの合憲説は間違いで、読みが浅かったと反省して、持論を改めざるを得なかった。

なぜここに来て、民主党は強引にこの政策を推し進めようとしているのか。小沢氏の目的が在日韓国、民団の大量票田にあるのは明らかだ。

民主党の法律違反

先の衆院選で民団の会員らは民主党や公明党の一部選挙事務所で選挙活動を無償で手伝っている。外国の個人や団体による選挙での支援は明らかな法律違反だ。民主党の動きには、わが国の法律を踏みにじる政策や行動が目立ち始めた。

長尾氏は1月28日産経新聞の取材で、外国人に地方参政権を付与した場合の影響について、「在日韓国人より中国人のほうが問題だ。現在、中国は軍拡に走る世界で唯一の国。中国人が24日に市長選があった沖縄県名護市にわずか千人引っ越せば(米軍普天間飛行場移設問題を焦点にした)選挙のキャスティングボードを握っていた筈だ。当落の票差はわずか1,600票ほど。それだけで日米安全保障条約を破棄にまで持っていく可能性もあり、日本の安全保障を脅かす状況になる」と語った。また、自らの学説が参政権付与に根拠を与えたことについても、「慙愧に堪えない。私の読みが浅かった。10年間でこれほど国際情勢が変わるとは思ってもいなかった」と述べた。

日本の政治を変える中国

平成19年末の法務省の統計では、永住資格を持つ外国人は約87万人。このうち在日韓国・朝鮮人が多数を占め、特別永住者は約43万人。一方、中国籍の一般永住者は約14万3千人だが、今後一気に増加することが予想される。既に都内で発足した在日中国人の「日本籍華人参加支援協会」の関係者は近い将来100万人の受け入れを検討しているという。これら在日華人社会が日本国内の巨大な集合体となれば、その影響力は計り知れない。彼らは中国の国家利益のため、日本の国政、地方行政に深く食い込むのではとの疑念を覚える。

鳩山首相はインターネットで、「日本列島は日本人だけのものではない」と発言し、外国の対日謀略に自ら進んで手引きするような姿勢を示した。保守系知識人らの予言どおり、民主党鳩山政権は国民の意志を無視して外国人の要求を受け入れ、国家解体に向かう危険な状況をつくろうとしていまいか。

外国人への地方参政権の付与でわが国はどのような事態を迎えるのであろうか―。たとえば、韓国が自国の領土と主張している対馬の問題がある。定住外国人が大挙して対馬市に居住して住民登録を行い、選挙や行政に影響力を持てば、「外国人支配の街」になる可能性がある。既に記載した沖縄の普天間問題と同じく、選挙次第で日米安保の破棄も考えられよう。

どんな国にも愛国心がある。外国人に日本を愛する心、国家への忠誠心、国家を守る精神があろうか。国家とは郷土愛、民族の伝統・文化・精神を継承し、保護する運命共同体だ。わが国の運命に責任が持てない外国人が地方選挙のキャスティングボードを握ることになれば「地方主権」は「外国人主権」となろう。鳩山首相の言う国と地方の並列で、自国の平和と安全が守れるのか。鳩山首相は「地方主権」を掲げたが、その裏には危ない政策が数多く潜んでいるのだ。

しかし、そんな問題は大したことではないと考えているのが民主党首脳部だ。所詮「地方主権」とは地方の問題であり、国政に影響しない。外国人はそのうち日本人化し、共存するようになるだろう。なぜ保守系は大騒ぎしたり、政治問題化するのか、何もわかっていないからだと切り捨てる。

ここに来て、小沢一郎幹事長の動きに不審の眼が向けられている。昨年11月、韓国民主党・丁世均代表との会談で小沢氏は「日本と北朝鮮の関係改善に向けて、拉致問題の解決にこだわらず、結論を出すべきだ」と発言。さらに2月に民主党議員の会合でも、「拉致問題は北に何を語っても解決しない。金を持って行き、『何人かください』と言うしかない」と述べた。これらの発言や行動はこれまで国益を考える政治家とみられていた小沢氏の国家観を覆しかねない。なぜか朝鮮半島問題に対しては異常と思われる取り組み方がある。

昨年12月、小沢氏はソウル市の大学で講演し、かつての戦争時代について「現代史の中で不幸な時代があった。日本国、日本国民として謝罪しなければならない歴史的事実だ」と述べた。この歴史発言はおそらく小沢氏の政治生活で初めての歴史解釈の披露ではなかろうか。最近の発言で小沢氏は保守の塊に見せかけて、その本性は左翼・共産勢力だったのかとの声がかまびすしい。次の参院選では絶対民主党に投票しないとの声が大勢になりつつあるのは無視できない。

数年前、大江康弘氏ら2名の民主党議員が離党した。離党理由について、「これまで小沢氏が国家観を持つ健全な保守であることを前提に支持してきたが、彼の行動が左に急旋回したのは腑に落ちない」と述べている。筆者は大江氏と台湾の行事を一緒に参加したこともあるが、自らの信条に一途なところがある人だった。

最近の小沢氏の発言や行動には非国家的な言動や態度が目立ち、保守系知識人らの批判の的になっている。選挙目的の子供手当などバラマキ政策の正体が明らかになる一方で、民主党は穴埋めに消費税を上げる検討を始めた。日本は地獄行きだとの不安を国民は抱き始めている。

現在民主党内には30名弱の旧社会党系左翼議員がおり、結成以来、事務局のスタッフは彼らが連れてきた左翼人士で占められ、理論武装のアジトとも揶揄されている。党大会に日の丸が掲げられず、愛国心のない政党にわが国を委ねてもよいのかという失望の声が党内からも出ている。いまや民主党内には外国人参政権を巡る意見対立のマグマがいつ噴き出すか、爆発前の静けさが不気味だ。その不安もあるが、政治は数の力であり、民主党は小沢次第である。

次回は2月25日(木)に発行いたします。