山本善心の週刊「木曜コラム」  今週のテーマ     「天皇制廃止論」

2009年12月17日
  

時局心話會 代表 山本善心

                                                  

 民主党は野党時代から、党をあげて皇室典範改正を公約している。平成16年夏の参院選以来、「『日本国の象徴』にふさわしい開かれた皇室の実現と皇室典範を改正し、女性天皇の皇位継承を可能にする」ことをマニフェストに掲げるなど、改正に取り組んできた。鳩山由起夫首相はこれらを「傾聴に値する」「女性天皇を容認し尊重する」と賛意を示している。

 衆議院選挙前、民主党が優勢とみた羽毛田信吾宮内庁長官は9月上旬、懸案である皇室典範の改正案を急ぐよう民主党側に要請した。自民党橋本政権の時代から、羽毛田氏らは皇室典範改正に関する基礎資料を作成してきたが、安倍政権に引き継がれてから「今急ぐべき問題にあらず」と封印されている。

「皇太子の次の世代に男子が悠仁親王お一人では、将来皇室を維持できるか否か不安である」(朝日新聞)と、社説に女系天皇容認論が掲載された。皇室問題に対する動きは執拗であり、陰湿である。羽毛田氏らは議論も皇室への相談もなく、マスメディアを使って一方的な世論操作を行ってきた。

皇室祭祀と伝統無視

 内閣法制局や宮内庁、内閣官房らの非公式会議が行われ、女性・女系天皇容認案が極秘裡に練られていた事実が明白となる。18年2月17日付け産経新聞は、「女性・女系天皇を容認するとした2年前官僚らによる極秘文書が判明」とトップで報じた。橋本政権時代の鎌倉節宮内庁長官・羽毛田氏らが中心となって、皇室典範の開催を前提とする極秘会議が行われたというわけだ。

 さらに彼らは、皇室の伝統行事である祭祀の簡略化を法制化しようとした。天皇家代々に受け継がれてきた祭祀は、天皇家が天皇家であるための、共同体を代表する貴重な儀式とされている。祭祀は皇室と国民を一つにし、国民の平和と安全を願うものであった。

 羽毛田氏ら天皇制反対勢力は祭祀の簡略化と女系天皇の実現によって皇室の存在を薄め、皇室廃止への道筋をつけようとの意図が見られる。祭祀王として歴代天皇が築いてきたのは皇族の生命線であるが、祭祀や伝統を無視する羽毛田氏らの態度は、天皇制廃止に向けての動きとしか思えない。

大嘗祭と天皇の存在

 天皇は祭祀王であり、高い文化的・伝統的価値のある儀式が本質であることを、官僚らがよく理解したうえで行動している。それゆえ羽毛田氏らはあえて「祭祀は天皇陛下の私事」とすり替えるのだ。中国の祭祀は唐代後半から盛んになり、開かれた空間で行うようになる(郊祀)。しかしわが国では開かれない祭祀を伝統としたので、今日まで存続したとの見方もある。

 皇室最大の行事の一つが、天皇即位の際行われる大嘗祭だ。『古事記』には天照大神の代に「大嘗を聞看す殿」があったとされている。これらの行事が行われる祭場の周囲に四角の柴垣をめぐらし、悠紀殿、主基殿の二つが造られた。両殿の屋根は草で葺く。天皇は両殿の北に設けられた廻立殿に入られ、東にある御湯殿で身を浄められる。

 皇室は国民の常食が途絶えることのないよう、五穀豊穣を祈る祭儀が見えない空間で行われていた。天皇が共同体の首長として国民の安全と繁栄を願う儀式が、権威としての存在を継承する証である。

反皇室の動き

 本来皇室とは開かれたものではなく、陰になり日向になって国民の安泰を願う神秘的な存在である。天皇は長い歴史と伝統儀式を継承する祭祀王であった。しかし今日では、皇族の扱いは芸能人以下のこともある。雅子妃殿下が私生活まで興味本位のさらし者にされ、宮内庁にいじめられて深い病に冒されたのは周知のことだ。

 小泉政権時代に有識者会議が発足したが、これは女性・女系天皇を容認するための強硬手段であった。小泉人気に便乗して一気に改正に持ち込もうとしたのは、天皇制廃止を目的とする共産革命の仕上げ段階との見方が取り沙汰されても仕方ない。しかし成立を目前に悠仁親王殿下が誕生され、男系継承の断絶は危機一髪で先送りされた。

 先述の通り、皇室史上前例のない「皇室祭祀の簡略化」「女性・女系天皇」容認を指揮しているのは羽毛田氏だと見られている。彼らの反日・反皇室の動きはすでに雑誌などでも扱われている。

天皇制の廃止に照準

 羽毛田氏が皇室伝統を破壊し、最終的に天皇制廃止を目論んでいるのは、皇室関係の大方が知るところだ。わが国に皇室がある限り、いかなるイデオロギーや政治権力もそれを超えることはできない。ソ連コミンテルンや日本共産党、外国人工作員の目標は、天皇制廃止である。

 こうした状況にあっても、天皇制はそう簡単に崩せる相手ではなかった。かつて老朽化した幕府を打倒したのは、一握りの正義感ある官僚たちである。彼らは天皇という歴史的権威を錦の御旗に、日本を動かしたのだ。今日に至るも世界の指導者が会見を求めるのは、天皇の存在の大きさによるものである。

 12月15日、中国の習近平国家副主席側が突然天皇陛下との会見を発表した。本来は1ヶ月前までに外務省が宮内庁に要請するのが決まりであった。羽毛田氏は「曲げて陛下にお願いした」と言うが、これまでの手続きを踏まないのはルール違反であり、天皇の政治利用は象徴天皇制の根幹を崩しかねない。羽毛田氏は言葉で「天皇の政治利用」を批判しながら、結果として民主党の言いなりに会見を実現させるようでは、出来レースと見られてもしかたがない。

誰が仕掛人か

 さて、最近の中山成彬元大臣や田母神俊雄元幕僚長の更迭は、言論の自由を否定するものだ。わが国の過去を悪と断罪し、憲法と核に触れさせない。それに反する者は、野党(旧社会党)やメディアを使って辞任させてきた。法制局の元局長も「改憲はさせない」と民間の講演会で強調している。最近これらを裏で操作する官僚支配の恐ろしい実態が露呈しつつある。

 戦後憲法では、天皇の政治的機能を「元首」とする規定はなく、イギリスのような政府への警告権もない。さらに明治期には、旧公卿や旧大名による華族など「皇室の藩屏」があった。しかし戦後憲法は、天皇に孤独な「象徴」を強いている。

 一握りの宮内庁官僚が皇室典範を自在に操り、皇室の伝統まではぎ取ろうとする露骨な動きが、昨今目立ちつつある。宮内庁の皇族いじめが、皇太子発言や雅子妃の病を招いている。保守系論客がこれらの問題を錯覚して雅子妃を中傷するのは、お門違いも甚だしい。

宮内庁に共産革命

 元共産主義者らや工作員が法制局や宮内庁に深く入り込み、政治家やメディアを誘導して天皇制廃止運動の先頭に立っているとの情報は信じたくない。しかし昭和天皇の時代、彼らは「戦争責任」による天皇退位論を取り上げた。しかし平成の代になると①開かれた皇室、②敬語・敬称廃止、③女性天皇の即位、④祭祀の簡略化など、着々と皇室の内部崩壊に照準を合わせている。

 皇室典範の改正で、橋本元首相は皇族方の意見を聞くよう羽毛田氏に指示したが、聞く耳を持たなかった。また小泉時代に突然、内閣総理大臣の私的諮問機関として登場した「皇室典範に関する有識者会議」は、共産主義運動の革命家だった吉川弘之元東大総長が座長であり、委員にはやはり共産党時代に活躍したメンバーが勢揃いした。彼らは皇族や政治家の意見をまったく無視する態度をとるなど、全体主義丸出しの姿勢をみせたものだ。吉川氏は三笠宮寛仁親王殿下が女性・女系天皇論に疑問を呈するエッセイを出しても「(皇族方の)意見を聞く考えはない」と突っ放し、その動きは尋常ではなかった。

皇室典範を堅持せよ

 女系天皇即位が天皇制の自壊につながるのは明らかだ。世論の大勢はその本質に気づかず「愛子様に皇位継承を」というキャンペーンに同調した。共同通信の世論調査で「女系天皇になってもよい」との回答が50%を超えたのはその結果である。

 共産主義革命を主導する一部官僚と御用知識人の動きが、ここにきて大詰めを迎えている。①性差の解体を求める「ジェンダーフリー社会」、②男女共同参画社会基本法、③女性天皇誕生などの運動は、天皇制廃止に連動する共産革命運動の総仕上げとなる。こうした危うい事態に、保守系論客の一部が女性・女系天皇容認論を書いて悦に入る有様では、わが国は絶望的だ。

「女性・女系天皇」「祭祀の簡略化」は、民主党の過半数の力を借りて、法案可決がいっそう進みそうな気配だ。羽毛田氏をトップとする宮内庁官僚らによる天皇制廃止活動の始まりと見られよう。皇室は2600年にわたって変わることなく儀式や儀礼を続けながら継続したものである。皇室の開放・改正を求めれば、天皇の権威を弱め、皇室の存在を危うくするものである。