政民合同会議講演会

2017年8月3日 講師/中谷 元 前防衛大臣・元自衛官・憲法審査会筆頭幹事・自民党衆議院議員・自民党憲法改正推進本部長代理

「我が国の安全保障と憲法改正について」

  今年5月の憲法記念日に安倍首相は2020年には新しい憲法を施行したいとのメッセージを発表した。多くの憲法学者が自衛隊を違憲としているにもかかわらず、何かあれば自衛隊が国民の生命を守るべきというのはあまりに無責任であり、自衛隊の存在を憲法に明記し、違憲の余地をなくすとともに、平和理念を未来に向けて堅持すべきとの考えからだ。
自民党は平成17年、24年の二度にわたり憲法改正案を提示している。前文からすべての条項でしゅうぶんを検討しているが、特に国防について、終戦後、占領下にあったわが国は、当時は選択肢がなかったが、その後、冷戦によって状況は一変し、主権回復、日米安保条約によって自衛隊が発足。自衛のための任務は憲法違反ではないという流れになる。砂川事件で最高裁は日米安保も自衛隊も当然との判決を下す。田中内閣時にベトナム戦争が起こり、憲法解釈で国会では再び大きな議論が起きたが、当時の政府の解釈は必要最小限の自衛のための武力行使は可能であるとしたが、集団的自衛権の行使はしないとの見方を示した。いま思えば、この当時の結論がいささか、政治的に飛躍していたのではなかったかと思える。
 本来、国連に加盟している以上、集団的自衛権は保持している。湾岸戦争時、わが国は憲法の制約でPKOにとどまり、2001年の同時多発テロ時に日本はインド洋の非戦闘地域で燃料補給にあたり、大きな貢献を果たした。
冷戦構造が崩壊して30年近く経ち、世界のパワーバランスの秩序が崩壊し、混迷の時代に突入したが、北朝鮮がミサイル発射を繰り返すなど緊張が増すなか、わが国だけで国を守れないことは明白だ。自民党が平成24年の憲法改正案を提案して4年経つが、いまだ国会に提示できる状況にはない。自民党としては国民、各党の理解が得られる案を作ろうと新たに議論を進めているところだ。
 中谷元防相は、自衛隊のこれまでの歩み、混迷する国際社会の各国の状況についても詳細に解説した。内閣改造について、「小野寺防相は制服組、背広組共に人望厚く、温厚で広い視野を持って細かく分析でき、判断力もある人物」と太鼓判を押したうえで、閣僚の顔ぶれについても「経験重視、適材適所の布陣で信頼回復に努めていくのではないか」と期待感を示した。