アジア会議講演会

2015年2月23日 講師/歳川 隆雄  「インサイドライン」編集長 

「2015年、安倍長期政権の行方」

第二次安倍内閣発足以降、首相がこれまで訪れた国々は54カ国にのぼる。モンゴル、ロシア、インド、ミャンマー、ベトナム、フィリピンといった国々を訪問し、中国包囲網を張り巡らせ、中国にとっても日中首脳会談は国益につながるとの判断を引き出すことに成功した。1月からの中東歴訪では、仏紙襲撃テロ事件がなければ陸路でイスラエルに入る計画もあり、G7にはできなかったわが国の中東和平のためのリーダーシップを発揮しようとしていた。『自由と繁栄の弧』構想を外交政策として掲げながら頓挫した第一次の反省から、安倍首相は経済政策に力を入れ、長期安定政権として今度こそ実現させようとしている。安倍外交は評価されて然るべきだろう。
安倍首相は政治家としてしたたかに大きく成長した。この5年間、政治以外の人脈を広げ、故事来歴を知るため先達の回想録を再読、健康回復にも努めてきた。女房役の菅官房長官にも恵まれ、凄みを増し、その勢いは周囲にも伝播している。この勢いで安倍政権の究極の目標である憲法改正も実現するか。リアリストである安倍氏は谷垣氏に総裁の座を譲ってから谷垣“リベラル”政権下で行おうとするのではないか。
安倍一強時代は当分続くだろう。鍵を握るのは経済政策だ。今後、世界経済が米国を軸にどう動くかは不透明だが、リーマンショックのような異変が起きない限りは課題をクリアして行くのではないか。集団的自衛権の法制化をめぐっては8月の国会は荒れることが予想される。アベノミクス最大のテーマである「構造改革」では農協改革に大ナタを振るった。残りは55年体制を支えてきた「労働」と「医療」だが、どこまで風穴を開けられるかに注視したい。
このほか、歳川氏は、安倍氏の後継者問題、首相の覚悟を示すエピソードの数々などについて詳細に解説。先のイスラム国人質事件については、省庁の縦割りから外務省と官邸で情報が共有できていなかった日本の危機管理体制の脆弱性を指摘。その後の質疑応答でも活発なやりとりが行われた。