政民合同会議講演会

2015年2月10日 講師/興梠 一郎 神田外語大学教授

「中国 目覚めた民衆~習近平体制を読み解く」

習近平はかつて毛沢東も目指した始皇帝になろうとしている。習近平と李克強は共産党内で不動の地位を確保したとされるが、リコノミクスと言われたのもいまは昔、李克強もその座を追われようとしている。毛沢東の時代から劉少奇、周恩来など後継者に選ばれながら失脚させられた例は多く、ナンバー2の地位が最も危ない。王岐山以外誰も信用せず、鬼気迫るやり方で腐敗摘発を推進するのは、革命家であった親が文革時代に失脚した出自とも関係があろう。腐敗摘発後、習近平にとって都合のよい人間が配置されるが、その後の人事について中国国内で報道されることはまずない。
2017年の党大会の5大ポスト争いが注目されるが、ますます活発化する腐敗摘発運動は、習近平体制はいまだ確立されておらず、権力闘争が続いていることを意味する。2017年までに何としても真の習近平体制を確立したい中国指導部は経済問題、日中関係どころではない。リーマンショックを境に減速した中国経済を背景に民衆の不満も募る一方だ。
中国は、経済は近代化しつつあるが、政治はいまだ自分と家族以外は信用しない義理人情を重んじる任侠の世界であり、前近代的で予測不能。日本の論理、感覚は全くといっていいほど通用しない。中国共産党はいまやマルクス主義でも共産主義でもなく、中華主義に回帰している。東アジア情勢が安定するためには中国政治の近代化が不可欠。しかし数千年の歴史に培われた中国政治の在り方を変えることは容易ではない。
興梠(こうろぎ)氏は、「中国の近代化の道筋は険しいが、台湾の国民党が民主化したように可能性はある」と指摘。また、「客観的な分析には英米メディアなど世界からの視点も不可欠」「中国国内で権力者への報道が規制される分、欧米メディアは権力闘争の格好のリークメディアになっている」とも指摘。氏は中国の人脈相関図、それぞれのバックグラウンドを紹介しながら今後の中国政治、習近平の考え方、目指す方向を詳細に分析した。