アジア会議講演会

2015年1月28日   講師/林 建良  「台湾の声」編集長

「どうなる中台の行方」

馬英九政権誕生以来、台湾は両岸経済協力枠組協議を始め、親中政策一辺倒だったが、事実上、統一の一歩手前ともいえる政治協議を前に起こった昨年3月のひまわり学生運動以降、台湾の空気は一変した。これまで政治に無関心だった若者世代が「国民党を倒さねば台湾は良くならない」を合言葉に結束。中共が推し進める一国二制度に反旗を翻し、台湾社会で「反中国」の機運が高まり、馬政権の親中スタンスも変化を見せて、いまや与野党、政府、民間とも親中的存在はなくなった。その馬総統も統一地方選で国民党が惨敗した責任を取り辞任した。いま最も台湾を牽引する人物として、国民党候補に大差をつけて無所属で当選した柯文哲台北市長に注目が集まっている。
この6年間、中国は政治、経済、文化、人的交流などあらゆる交流カードを切り、台湾を武力で威嚇し、経済で政治をも包囲する計画を推し進めてきたが、台湾人の心は中国から離れる一方だ。92年以降台湾で毎年行われている世論調査で自分を「台湾人」とする回答が初めて6割を超え、過去最高を記録するなど、台湾人意識もかつてない高まりを見せている。
ひまわり革命以降、中国軍関係者からは「もはや平和統一は不可能となり、武力で併合するしかない」との発言も聞かれるが、中国も自国内に経済成長の鈍化、高齢化など山積する問題を抱え、一枚岩ではない。台湾の社会全体が反中国となり、政治、経済も中国とは親中関係は崩壊し、いまや対中関係は混沌状態にある。台中関係はかつてない良好な関係であると指摘する海外メディアもあるが、それは台湾が中国の言いなりになってきたに過ぎず、この指摘は全く当たらない。
台湾人意識はかつてない高まりを見せているが、このまま独立し、新しい国づくりが始まるというのも早計だ。台湾内部だけでは決まらず、アメリカの姿勢も大きいが、オバマ政権は他国に関心がない。
台湾では新しい第三の政党“時代力量”が誕生するなど、若い世代の政治意識は確実に変わりつつある。2016年の総統選までこれから台湾はさらに大きな変革の時を迎える。