政民合同会議講演会

2014年6月11日 講師/原田 泰 早稲田大学政治経済学部教授

「日本経済の課題ー第3の矢は的を射ぬくことができるか」

日本経済は90年代以降、他のアジア諸国が成長する中、低迷を続け、リーマンショック下においても日本だけが金融を緩和せず、円高、生産減少、株価・物価下落の負のスパイラルに陥っていた。アベノミクスで日本は世界に4年半遅れて黒田総裁指揮下、大胆な金融緩和を実施。その結果、すべての指標が好転、実体経済が改善した。円安で貿易摩擦が拡大し貿易戦争になるという批判があったが、経常収支は増えず摩擦になりようがない。財政規律の弛緩は自民党政権末期からのこと。その少し前の、2006、2007年は財政再建が実現した。シーリングをかけ歳出を抑える一方、量的緩和で景気が良くなっていたので税収増となったからだ。今後の財政再建には、高齢者の増加によって毎年1兆円ずつ社会保障への支出が増える中、歳出90兆円台を目指していくことが鍵となろう。消費増税と景気回復の効果を併せて歳出抑制を行えば、財政再建も可能だ。歳出をコントロールしつつ金融緩和を行えば景気が良くなり税収も増え、財政赤字を削減することができ、財政規律の破壊にはならない。
日本が今後経済成長を続けるには何をすべきか。過去、日本の成長率が上昇したのは明治維新と終戦後であったが、それに匹敵する大改革をやる覚悟がいまの日本に必要だ。特定の産業、分野に国がバックアップすることはもんじゅ、STAP細胞の例が示す通り、現実的には難しい。鎖国、士農工商を廃止した結果、かつての日本が急成長したように、規制緩和によって自由な活動を推進することで財政コストがかからず経済発展することができる。TPPも効果的だ。TPPによって農家の壊滅、食料の安全保障を危ぶむ向きもあるが、農家の平均所得のうち農業所得はわずか9分の1に過ぎず、輸出を強化して日本の農業を強化するためにもTPPは不可欠だ。国が栄えて初めて農業の保護につながる。法人税減税だが、納税の現状を考慮する限り10%引き下げによる減収は1兆円程度に過ぎず、法人税減税は経済活性化につながる。女性の活用、TPP推進、法人税減税、雇用の流動化を手始めに成長戦略を推進することが日本の成長を促す、すなわち的を射抜くということになろう。
原田氏は、様々な具体的なデータを提示しつつ根拠を述べ、時に歯に衣着せぬ発言で会場を沸かせた。