政民合同会議講演会

2014年4月10日 講師/高橋洋一 元財務官僚・嘉悦大学教授

「消費増税とアベノミクスの行方」
日本の金融政策はようやく世界水準になった。社会政策に多大な影響を与える金融政策についてわが国ではほとんど理解されておらず、先進国では、中央銀行は物価の安定と雇用の最大化を掲げるのに対し、わが国の中央銀行の記者会見で失業率に言及されることはまずない。民主党政権は失業率改善を訴えながらも金融政策を実施しなかった。金融緩和を行えば財政政策により景気上昇は可能だ。先進国に遅ればせながらようやく実施されたのがアベノミクスであった。たった1年でGDP、インフレ率は改善。消費増税後もブレーキはあろうが、黒田日銀総裁が金融緩和を続ければ増税による景気の落ち込みを相殺できる可能性は高い。マネタリーベースを増やせば予想インフレ率が高まり、実質金利が下がれば様々な波及効果で実体経済がよくなることは過去200年の歴史が証明している。なお、貿易黒字と経済成長率に因果関係はない。

アベノミクスの第三の矢である経済成長戦略だが、法律の整備、民間事業者の参入時期を考慮しても最低5年以上の長期的スパンでなければ効果は測れない。しかし2020年の東京五輪に向けた長期的な経済成長のシナリオは期待できる。五輪ともなれば各国とも例外なく規制緩和や貿易自由化など対外的にオープンな政策をとる。アベノミクスでも様々な自由化措置を講じる可能性が高く、それは長期的な成長基盤となるだろう。この機会に地方分権を進め、地方自治を思い切って推進することが五輪を生かして日本経済が成長するチャンスとなるだろう。

消費増税後、早く効果が期待できるのは財政政策しかない。世界の先進国の補正予算は減税給付金タイプが圧倒的に多いが、日本では政府支出が圧倒的に多い。これは番号制度など、社会保障給付のインフラが整っておらず、年金機構の人員不足により、社会保障の取りはぐれが多いためだ。消えた年金の7割は厚生年金で、事業者の未納に対し、年金機構のチェックが追いつかないことが原因であった。

わが国では消費税を社会保証目的税と位置付けているが、世界でそんな国はない。社会保険料の徴収体制が整備されないまま社会保障目的税とするのは税制度として大きな無理がある。地方分権を進め、道州制にして、地方に消費税の上げ下げを移管し、地方財源とするのが理に叶っているのではないか。 高橋氏は多くの図表、データを活用し、増税後の日本経済の行方を様々に予測。その後の質疑応答では活発なやりとりが行われた。