アジア会議講演会

2014年3月31日  講師/金 美徳  多摩大学教授

「険悪な日韓関係と密接な日韓経済」
日韓関係は領土問題や歴史問題によって政治的対立が戦後最悪の状況となった半面、貿易や投資の拡大、企業連携、観光客の増大により、経済的には過去最高の状態にある。所謂、アジアパラドックス(政経矛盾)に陥っている。

韓国にとって最大の貿易国は中国であり、日本から部品と素材を輸入し、製品を世界に売るのが韓国貿易構造だ。一方、過去5年間に世界で韓国に最も投資した国は日本であった。

日韓経済には日中韓台露、モンゴル、北朝鮮から成る北東アジアの経済連携が密接に関係している。北東アジアは、世界人口の24%、GDPの2割を占め、市場規模からみてもASEAN 以上に高い潜在能力を秘めている。また、豊富なエネルギー資源に恵まれた地政学的優位性を活かしながら急激な経済成長を続けている。

日韓は2千年間にわたり活発な交流を続けてきており、関係が悪化したのは日本の植民地支配以降のわずか100年間に過ぎない。両国の交流はいまも地方都市が直行便を増やし、往来が毎年500万人を超えるなど活発に続いている。

慰安婦や竹島問題は両国のリーダーが覚悟を持って共に取り組むしかない。島を岩とみなす、あるいは分割領有にする、平和の象徴として中立地帯とする、譲渡など、世界の領土問題の解決策から学べることは多い。大切なのは両国の信頼関係だが、日韓議連、日韓新時代共同提言など、一定の進展は見られる。

日韓で朝鮮半島の統一に取り組むこともビッグビジネスにつながるだろう。試算では統一後、韓国の経済成長は飛躍的に伸び、GDPは世界8位になるとされる。日本は南北統一を支援することで国際的な評価が高まり、その特需を取り組むこともできる。

日韓の経済が果たす役割は非常に大きく、北東アジアはおろか、世界の経済に大きな影響を与えることは間違いない。両国間の政治問題の完全解決はありえず、アジアパラドックスを解消するには、文化交流、経済連携を拡大することで政治問題を相対的に小さくするしかない。

このほか金氏は、新興国が世界のビジネスモデルを席巻するリバースイノベーション、 ものづくり志向の日本企業に対し、現地のニーズを徹底的に調査して見せ方、売り方にこだわるマーケティング志向の韓国企業の強みなど、日韓企業文化の違いにも言及。幅広い観点から世界経済、日韓経済の分析を行った。