政民合同会議講演会

2014年11月10日 講師/原 英史 元通産・経産官僚、元規制改革担当大臣補佐官

「『岩盤規制』改革の行方」

第二次安倍内閣は、岩盤規制をすべて打ち破ると明言。8月以降アベノミクス失敗との批判が増す中、第三の矢である成長戦略については総論から各論へと議論が進んだことは評価すべきだ。今でも医療、看護、教育はじめ、雇用や物流など数多くの不合理な規制が残されている。一度規制ができると、利権が生まれ、改革は常にすでに利権を持つ産業界の猛烈な抵抗に遭い、遅々として進まない。業界団体・族議員・役所が“鉄のトライアングル”として岩盤規制を守り、メディアも役所に沿った報道を行うことで役所の論理を流布。ビジネスをしやすい環境にするための岩盤規制改革だが、強固な少数の特定利権の反対によって一般消費者の利益が損なわれている。そもそも日本で規制緩和が遅れているのは、官僚主導で役所が所管業界の味方となり、国民によるガバナンスがきかない構造となっているためだ。地方自治体の人事も、すべて国の法律で定められるなど、GHQ占領時代からの構造的な問題があり、規制改革はなかなか進まない。その中で、安倍内閣で内閣人事局、国家戦略局が設置されたのは、総理と大臣が経営者として正しく機能するため、人事部、経営企画室が設置された改革の第一歩と言える。
岩盤規制を打ち破るには、“鉄のトライアングル”を打ち破るか、あるいは回避して改革するしかない。後者のために打ち出されたのが国家戦略特区だ。第二次安倍内閣では第一次の反省を踏まえ、担当役所、省庁の反対を回避するため、民間の有識者も含めた特区諮問会議、国・民間・自治体の3者が対等に特区内の改革を決める区域会議をつくり、具体的な岩盤規制改革に向けて動き出した。
9月以降、特に強力な運用体制がつくられ、東京、関西の主要都市のほか、岩盤を打ち砕くドリルの刃となるべく市長自ら思い切った改革を打ち出そうとする多様な地方都市が名を連ねた。今後その動きは加速していくだろう。安倍政権に残された時間は少なく、岩盤規制の進捗状況は芳しくない。ただ、環境は確実に整いつつあり、今後、いかに拡大、強化していけるのかに注目だ。これまで霞が関に独占されてきた国の政策立案を、民間でも担うべく自ら政策工房を立ち上げた原氏。岩盤規制を打ち破るための様々な方策を具体例を挙げて解説した。