アジア会議講演会

2013年8月26日 講師/大坪 祐介  ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン株式会社 取締役

「ビジネスパートナーとしてのロシア」

ロシアに対するわが国のメディアの偏向報道もあり、ロシアのよい面はあまり伝わらず、日本人のロシアに対する見方には思い込みも多い。たとえばモスクワの冬は旧ソ連時代のインフラ整備の恩恵で多くの建物が暖房完備され、北海道よりも暖かいほどだ。一方、日本人のロシアへの関心の低さとは裏腹にロシアでは日本車、日本食への関心は非常に高い。

ロシア経済は97年以降、リーマンショックまでは高い経済成長率を保ってきた。多くの新興国が双子の赤字に苦しむ中、ロシアは安定的な財政運営と貿易収支を実現。輸出の多くを資源エネルギーに頼る資源大国である一方、実質経済は旺盛な民間消費と投資が支えている。

昨年の欧州の小売売上では独仏を抜いた。1億2000万の人口を抱え、ロシア語市場は2億5000万人にも及ぶ。国民の8割は自らを中流と捉えるほどロシアはいまや成熟した社会となった。ソチ五輪、W杯を控え、さらなる経済成長が見込まれるロシアだが、在留邦人は旧ソ連時代から半減し、日露間のビジネスは停滞している。情報と人の交流を増やし、中韓に次ぐ隣国であるロシアを見落としてはならない。

大坪氏は、10年に及ぶロシアでのビジネス経験を背景に、同国の民族構成や生活環境、ロシア人のものの見方、西側との民主主義の本質的な違いなどを多岐にわたり解説。

ペレストロイカで市場経済を推し進め、国外で評価が高かったがソビエトを崩壊させたとして国内で不人気のゴルバチョフ、国営企業の民営化を断行し、現在のロシア経済の基礎を固めたエリツィン、旧体制を打ち破り、大胆な税制改革で健全な経済政策に踏み切ったプーチンなど、歴代政権、政治経済情勢を分析。「日露間では情報と人の交流が不足しているが、ロシア市場には我が国の中小企業にも様々な商機がある」と語った。質疑応答でビジネスに参入する際のマフィアへの懸念など具体的なアドバイスを求める質問者に対し、その対策、ロシアビジネスの実情について自らの体験から具体的に語った。