アジア会議講演会

2013年7月22日 講師/田久保 忠衛  杏林大学名誉教授・産経新聞「国民の憲法」起草委員長

「何故いま憲法改正をしなければならないか」
参院選で自民党は単独過半数単独に届かなかったにせよ大勝し、ねじれも解消したが、いまの緊迫した国際情報の中でそれだけでは済まされない。わが国は、戦後現行憲法のもと、中韓はじめ、北朝鮮、ロシアなど日本に対する脅威が増していることを直視せず、68年もぬるま湯に浸かり続けてきた。

韓国朴政権は民主主義を同じくしても第一の敵は日本であり、中国と組もうとしていることを明確にしている。ブラジルやインドなど新興国の台頭が著しく、絶対大国であった米国が相対的に衰退するなか、日米同盟も盤石であり続けるかは不確実だ。

オバマ政権第二期は死に体で何も手出しをできない状況にある。まったくの外交な素人が一国の大統領となり、他国との摩擦を好まず、すべて交渉で解決できると考えている。これは現行の日本国憲法とまさに合致するものだが、こういうことに価値を置かない国にとっては餌食となるだけだ。

オバマ政権は主要閣僚にリベラルな人を配置した結果、IRSスキャンダル、駐リビア大使殺害事件、スノーデンの機密情報漏洩事件などを抱え、身動きがとれない。米中関係も進展せず、対ロ、中東関係も悪い。外交オンチのオバマ大統領に対し、いまや米大手紙も一面で批判するほどだ。

日米同盟の重要性は変わらないが、尖閣に対する明らかな中国の挑発に、わが国が現行憲法下ではまったく手出しできない現状をみても一刻も早い憲法改正が不可欠だ。96条は国民が主権を行使できるチャンスのハードルをあげていることを国民が理解していない。

田久保氏は産経新聞の「国民の憲法」起草委員長として、現行憲法の成り立ち、他国の憲法改正の現状を解説した。現行憲法には自然災害、他国からの攻撃や内乱、大規模テロに備える緊急事態条項がないことを危惧。そのうえで、二千年以上皇室を軸に機能してきたわが国の歴史、独自性を踏まえた立憲君主制、独立自尊の同義国家としての在るべきわが国の憲法の試案について語った。

安倍首相に対しては、「中韓に加わって靖国、慰安婦反対に同調しようとするオバマ大統領に対し、慰安婦の強制という事実などないことを明白にすることが日米関係強化最大の措置である」と主張した。その後の質疑応答では、出席者からも様々な意見が出され、活発なやりとりが行われた。