アジア会議講演会

2011年5月20日 講師/久保田 るり子 産経新聞外信部編集委員

「緊張の朝鮮半島情勢を読む」
東アジアはわが国をはじめ4カ国のリーダーが交代し、大きな節目を迎えている。韓国ではメディアで日本のことが取り上げられない日はなく、自国の輸出企業の不振がアベノミクスへの脅威、不満へとつながっている。先の米韓首脳会談で韓国側は日本の歴史認識について警告。政権発足時は良好にスタートしてきた日韓関係に水を差す形となったが、これには韓国内の反日の勢力を封じる狙いがあり、安倍―朴時代に日韓関係は改善されるとの期待もある。

韓国の反日とは、民主化勢力が行った歴史教育を鵜呑みにした時流に乗ったものが大多数を占め、親日派の父を持つ朴大統領は愛国史観を打ち出す必要に迫られていた。共に国内的な支持基盤を持つ安倍氏とはこの問題を首脳会談で解決できるとの見方もある。

核実験、開城工業団地撤退など不穏な動きをみせる北朝鮮だが、これは軍事挑発によって金正恩が実績を積み、軍部を掌握することが目的であった。世襲期の統制の弱体化を防ぐため、北朝鮮内部では1950年代、1975年と同様粛清が強化されている段階だ。新体制が確立されるまで2~3年はかかり、中国と接触するのはそれからになろう。北朝鮮は非合理で不透明であることで米国に脅威を与えることに成功している。

1948年の建国以来、北朝鮮の国としての目標は一族の支配、韓国の赤化統一、核とミサイルによる完全国家、鎖国政策―とぶれていない。米国が先送りする間に北は核を持ち、長距離弾道ミサイルも手に入れた。4月以降挑発行為が止んだのは現在どこかの国と話し合いが持たれているとも考えられる。米国は朝鮮半島に軍事介入はできず、対話にシフトしたい意向であり、夏から秋にかけて話し合いが行われるのではないか。先に訪朝した飯島氏は小泉政権の2度の訪朝に随行し日朝交渉の裏も知る人物。北には日朝で人道レベルの話をすることで米朝関係を進展させようという思惑もある。日朝関係は始まりの段階に過ぎない。4カ国の指導者が変わったことで南北、米韓、中韓いずれも新たな局面を迎えつつある。

日朝関係について久保田氏は、「拉致に直接手を染めてない金正恩氏とは拉致問題に新たな転機をつくることができる」と予測。そのほか、韓国での豊富な取材体験を踏まえ、南北朝鮮人の気質等についても言及した。