アジア会議講演会

2011年1月26日 講師/郷原信郎 元検察官、桐蔭横浜大学法科大学院教授   名城大学教授、総務省顧問

「検察改革のゆくえ」

 

日本の刑事司法はすべて検察を中心に回り、検察は「絶対的な正義である」との前提で、バブル崩壊以降、社会的に重要な組織に必ず求められるようになった情報開示などの責任を果たしてこなかった。こうした組織に不祥事が起きるのは当然の帰結だ。

特捜の不祥事は、起訴に至るまでの客観性のない品質管理体制にあったと言えよう。企業にたとえると特捜は警察から事件を仕入れ、部品(証拠)を調達して起訴事実を積み上げるという一貫工程を全て内部で行っている。大阪地検の問題の本質は郵政民営化の歪みにあったが、証拠改竄(部品の不備)ばかりが取り沙汰され、ありもしない荒唐無稽なストーリーをつくりあげて無理に立証しようとする製造計画自体に問題があった。政治資金規正法など、対社会的な対応が求められる違法行為には現行の検察システムでは対応できない。ライブドア事件や産婦人科医への厳しすぎる処置を下した大野病院事件のような判断は、株価の下落や産科医不足など社会に重大な影響を及ぼした。陸山会政治資金問題も、「起訴相当」とする判断根拠は不動産取得の日付がずれていたという単なる記載ミスに過ぎず、今後、検察が社会経済の実態に即した価値判断をしていくためには、本当に「法と正義に基づいて適正に処理されている」のか、というこれまでの大前提を変えるべきだ。相次ぐ検察の不祥事はそうした検察への世間の問題提起を喚起するきっかけとなった。

郷原氏は専門であるコンプライアンスに絡めて検察組織の体質、不祥事に対する背景の詳細、改善すべき点をわかりやすく解説。このほか、メディアと検察が一体化している問題についても言及した。その後の質疑応答も活発に行われた。

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